悪人を見別ける法
『光』17号、昭和24(1949)年7月9日発行
私は長い間、随分いろんな人に接近したが、まず世渡りの必要上悪人か善人かを見別ける事が一番肝腎だと思った、しかも近来は強請(ゆすり)が非常に多く来るので特にそう思う、ところがこの強請連中にもそれぞれ特徴があるから面白い、それをかいてみよう。
第一彼らは非常に口が巧い、彼らの話振りには警戒しながらも魅せられてしまう事がよくある、この点ほとんど例外はない、次に大声を発する事非常にしつこいこと、今一つ注意すべきはこわもての奴もあり、それと反対に非常に優しくもって来る奴との二種あるから面白い、総じて悪事をする奴は恐ろしい顔付のように想像されるが、これは反対の場合が多い、それはすこぶる優しく人なつっこいものである、なる程考えてみれば恐ろしい顔だと相手が警戒をするから成功率が低い訳で、優しいとどうしても引っ掛りやすいという訳である、次は善人であるが、私の長い経験上、話の上手な人より、下手な人の方が多くまた仕事の結果も良いのである、それもそのはずで、話が巧いから人が騙されるという訳で、自然人を騙す事によって世渡りをするようになる、ところが話下手だと人を騙し得ないから、腕で成績を挙げようとするから、前述のような結果になるのであろう。