―― 岡 田 自 観 師 の 論 文 集 ――

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べートーヴェン

『栄光』214号、昭和28(1953)年6月24日発行

 この間私は独逸(ドイツ)映画、題名エロイカ、製作はウィンフィルム会社で、ストーリーは楽聖ベートーヴェンの中年から晩年に至る間の経路を描いたもので、近来の傑作である。始めから終りまで息もつげない程で、主人公に扮(ふん)する俳優もそれらしく素晴しい演技であった。しかも聾耳(つんぼ)になってからの悲痛な場面は、胸の迫る思いであった。ところがそれを観ながら私はつくづく感じた事は、この聾耳の原因である。これは頭に溜っている毒素が、職業柄長い聞耳に神経を集中するため、鼓膜と聴感神経との間に、毒素が少しずつ溜り固まったものであって、浄霊によれば訳なく治る性質のものである。
 ところが惜しいかな、年代の大きなズレと、国の異(ちが)いさのため、せっかくの大芸術家がこれからという時、人生の幕を閉じたのであるから残念である。もっと年を貸したなら、どんな名作が出来たか分らないと思うと、返す返すも遺憾である。もちろん今後も世界的偉人や名人が半途にして、この世を去る場合もあるであろうから、我救世教の神霊医術を一日も早く全世界に知らしたいと切に思うのである。