癌
『アメリカを救う』P.21、昭和28(1953)年1月1日発行
この病気は肉食病といってもいいくらいのもので、これを根本的に説明してみると、最初造物主は人間を造った時、その食物としては穀類、野菜、獣鳥肉、魚肉等それぞれ人体に適合した物を造られ、それを食う事によって、健康で生を営み得るようにされたのである。もちろん住んでいる風土、気候や、人種別にも適応するようになっているのはもちろんで、それが自然である。従って米国における大いなる沃野(よくや)と、そこに生産する穀類、野菜、獣鳥肉等が豊富であるのも植物性と動物性食物を適当に食えという訳である。また日本は陸地が狭く、海に取り巻かれているのは、魚肉を多く食えというのである。
ところがそのような自然の実体を、科学という魔法使が打ち壊してしまい、人体を単なる物質扱いにした結果形而下(けいじか)的には進歩発達はしたが、形而上(けいじじょう)の存在である人間の生命までも形而下に引き下し、栄養学などという飛んでもない学問を作り、皮相なる分析上から獣肉を推奨したのであるから、今日のごとく肉食過多に陥ったのである。ところが元来獣肉には一種の毒素が含まれており、この毒素が漸次集積し固結したものが真症癌であるから、自然はこの肉毒中和の必要からも野菜があるので、穀類は別とし副食物としては相当量野菜を交ぜなくてはならないのである。そうすれば決して癌は発生しない。としたら米国などは肉と野菜と半々くらいがちょうどいい訳である。何よりも菜食多量の民族には癌はないはずである。近来日本においても癌はあるにはあるが、米国とは比較にならない程少数であるのは、全く日本は生活が低く、肉食が少ないからである。
次に注意したい事は、単に癌といっても真症と擬似との別がある。すなわち右にかいたのは真症であるが、実は擬似の方がズッと多く、この点日本も米国も大差ないであろう。この擬似癌の原因は、無論悪性な薬毒の一種であるから、薬を廃止する事によって無くなるのはもちろん、罹病の場合薬を廃(や)め菜食を多くすれば長くは掛かるが少しずつ治ってゆくから、左程心配はない訳である。