結核と特効薬
『結核の革命的療法』昭和26(1951)年8月15日発行
結核の薬くらい、次々と出るものはあるまい。近年になってセファランチン、ペニシリン、ストレプトマイシン等々随分もてはやされた。ちょうど何かの流行のようである。このようにそれからそれへと新薬が出るという事は、もちろん前に出たものより効き目がより高いからであろうが、さきに詳説したごとく、薬の効き目とは毒の効き目で、毒が強い程よく効く訳であるから浄化停止の力も強い。としたら症状が軽減するので、特効薬として売出されるのである。しかしいずれはその薬毒の浄化作用が起るから、毒の強い程浄化も強く来るという次第で、結果は一の苦痛を免れようとするその方法が、二つの苦痛の種を蒔く事になる。それが薬学の進歩と思っているのであるから、問題は大きい。従って有体(ありてい)に言えば、医学の誤りが病人を増し、薬剤業者を繁昌させ、新聞屋に多額の広告料を奉納するという、それ以外の何物でもない事を知るであろう。憐れむべきは現代文化民族である。私がこの重大事を発見し得たという事は、いよいよ時期到来、暗黒界に一条の光明が射し初(そ)めたのである。もちろん地上天国出現の間近い事の示唆でなくて何であろう。