―― 岡 田 自 観 師 の 論 文 集 ――

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民主的美術館

『栄光』216号、昭和28(1953)年7月8日発行

 先日アメリカのメイジャー・H・ショウ氏が、箱根美術館観覧後非常に感銘したというので、訊(き)いてみると米人らしい感想を洩らした。しかもこれは日本人の余り気のつかない事なので、ここにかいてみるが、同氏いわく“この美術館は、日本における最も新しい意味を提供したものである。というのは今まで日本における美術品は、特権階級の奥深く秘蔵され、個人的愛玩物として扱われて来た物がこのように多くの貴重品を蒐(あつ)めて、惜し気もなく公開し、民衆を楽しませるという事は、美術の独占を破って、民主化の門を開いた訳で、自分は大いに感銘し、尊敬を払う”というのである。これを聞いた私は私の思っている事を、飾り気なくそのまま言ってくれたので、まことに快(こころよ)い気持がしたのである。