日本人と宗教心
『光』40号、昭和24(1949)年12月17日発行
トルーマン米大統領は昭和二十四年十月三十日夜「米国人の宗教生活」と題する特別ラジオ番組で左のごとく放送した。
米国は建国以来非常に宗教的観念の厚い国家である、米国の建国者たちが求めたものは各人が自由な方法で神を崇拝することであり、これこそ彼らが欧州から新世界に移ってきた強い動機の一つであった、米国の独立当時のモットーは「新しき信仰」ということであったが、われわれは依然として神に厚い信仰をささげている、諸外国はいまや米国を平和への道における指導者と目しており、この期待に応ずる十分な力をもっているものと確信するが、それはわれわれが深い宗教的信仰をもつゆえにほかならない、国家としての米国の力の根源は精神的なものである、かつて積極的信仰によって開拓者が荒野を征服したように、今日も積極的信仰によってわれわれは正しき平和、すべての者の自由、および人間生活が真の神聖さを保つ世界を実現するため働くことが出来るであろう。
右のごときトルーマン氏の宣言によっても明らかなごとく、米国今日のごとく、世界の指導者として磐石(ばんじゃく)の地位も僅々百数十年の期間に築き上げたという事は世界の驚異で、その原因が奈辺にあったかを知るべきである、それはまったく崇高なる宗教精神が、その根幹をなしていた事で、この事によってみても再建日本としての最も緊要なる事は国民挙(こぞ)って信仰心をもつことは言うまでもないのである、米国においてはいかなる家庭といえども一冊の聖書は必ず備えてあるという事なども実に羨しい限りである。