―― 岡 田 自 観 師 の 論 文 集 ――

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世界画の完成

『栄光』75号、昭和25(1950)年10月25日発行

 私の各論文は前人未説のものが多いが、これは特に破天荒のものであるから、その積りで読まれん事である。
 そもそも現在あるところのあらゆる既成宗教は、それぞれの特異性があって決して同一のものはない、という事は深き神の経綸によるのであって、今日までその意味を説いたものはないようである。本来なれば今までに唯一の立派な宗教が生まれていたならば、人間はそれに満足し、帰趨に迷うごとき事はないはずである。したがって、何ら論争の必要もなく、宗教の種別も分派もなく、教義の異端もなく、和気藹々(あいあい)裡に一目標に満足し、実に理想的であるにかかわらず、今日のごとき混沌たる世相は生まれないはずであるにかかわらず、そうでないのは、実は、大いに意味があるのであってここにその神意を闡明(せんめい)してみようと思うのである。
 世に計画という言葉があるが、この画という文字に深い意味がある。という事は、今日までの既成宗教は、世界的大名画を描くに必要なる幾多の絵具であったのである。ところが時期到来いよいよ多彩な画面を纒(まと)める事となり、構図も理想通りのものが出来上り、今や大画伯が最後の腕を揮うべき直前となったのである。
 もちろん画題は地上天国であり、画伯は誰あろう偉大なる救世神霊である。したがって現在までの物の観方では、この雄大なる構想の一部さえも窺知(きち)する事は容易ではないのである。
 以上は宗教方面についてであるが、それに伴って他のあらゆる思想文化といえども、地上天国完成へのそれぞれの使命をもって、歩調を揃えての前進が今や始まらんとするのである。実にこの事を思う時、吾らは血湧き肉躍るの感なくんばあらずで、この千載一遇の好機に生まれたる光栄を惟(おも)い、大経綸に参加せるこの歓びを神に感謝する次第である。

(注)
闡明(せんめい)、明瞭でなかった道理や意義を明らかにすること。