信仰の自由

『栄光』121号、昭和26(1951)年9月12日発行

　宗教が異（ちが）うために、救われる機会に恵まれながら救われなかったりする例がよくある。というのは宗教によっては、他宗に触れるのを非常に嫌い、それが大きい罪悪のようになっているからである。これは全くその宗教に力のない事を表白している証拠で、言い換えれば信仰の自由を拘束する一種の信仰封建である。というのは本当に立派な宗教ならば、他のいかなる宗教へ触れても、迷いの生ずる懸念などあり得ないから、安心な訳である。だから私はどんな宗教でも触れていいばかりか、むしろ大いに研究される事を希望するのである。その結果もし本教以上立派なものがあったら結構だから、その信仰へ自由に転向してもよい。何となればより良い宗教程救われる可能性が多いからであって、その行為は正しい訳で、正神ならば決して御尤（とが）めなどあるはずはないのである。
　ところが世の中には他宗に転向すると、罰が当って病気や災難が来るとか、酷いのになると一家没落するなどと言って嚇（おど）かすが、こういう宗教こそ邪教である。元来正神の御心は公平であり人間には選択の自由を与えられておるので、正しい意味による改宗なれば、神様は御喜びにこそなれ、御尤めなど決してないのである。例えばここに一人の妻女があり、その婦人は才色兼備にして申分なく、自分も自分以上の女性は天下にないという自信があるから、たとえ夫がどこへ行っても、どんな女に接近しても、一向心配はないはずである。世間に女は大勢あっても、自分程の者は二人とないと安心している、というのと同様の意味である。ところがそういう宗教は、恐らく世界に一つもないといってよかろう。としたらそれだけでも本教の価値は分るであろう。ではなぜ本教がそれ程の確信があるかというと、実はキリストや釈尊はじめ多くの聖者達は、最後に本教が出て万人を救うという事が判っているからで、その事を予言までされたくらいである。としたら今までその信者達も、それに気がつきそうなものだが、いまだ時期が来ないとみえて、そうはならないのは遺憾である。ところがまだ始末の悪い事がある。それはキリスト教で言う本当の救世主が現われる前に、偽救世主が出るから注意せよとしている。それがためたとえ本当の救世主が出たとしても、無批判的に偽者と断定してしまうその危険さである。なるほど今までに世界中偽救世主は幾人も出た例はあるにはあるので仕方があるまいが、困った話である。今これらについて、次に載せる報告〔略〕はよくそれを物語っているから、誰でも今後こういう事に出っ喰わした場合、よく説明すれば分ると思うが、事実本教に救われて有難いから、直ぐに転向しようとしても、躊躇（ちゅうちょ）するが、霊界においては大宗教の教祖なら大いに満足なさるに違いないから、それを知らせるのが肝要である。いずれは世界のあらゆる宗教の信者は、ドシドシ本教へ転向して来る時節が来るであろう。というのは各宗教教祖は霊界において、自分の信者を救って貰いたいために本教へ入信さすべく、大努力を振うからである。