心臓の手術
『栄光』203号、昭和28(1953)年4月8日発行
今度女子医大の学長、外科の大家榊原博士が、心臓弁膜症の手術に成功したという事をラジオで聴いたが、それは心臓の弁膜は四枚あるのを、病気に罹(かか)っている一枚だけ除去出来たという報告である。もっともこれは最近アメリカで成功したという手術であって、それからヒントを得て同博士はメスを振ったのであろうが、日本では最初の成功だという事である。ところが吾々からみると歯牙(しが)にかける程の事でもない。なぜなれば我浄霊ならばそんな手数をかけずとも訳なく治るからである。というのはこの患者は一枚の弁膜の際(きわ)に毒素が固結し、その圧迫によって心臓の活動に障碍(しょうがい)を及ぼしたのであるから、その固結毒素さえ溶解排除させれば、それで治ってしまうので、もちろん肉体に触れず、精々二、三回で済むのである。
そうしてこの手術に際し注意したい事は、よしんば完全に切除出来たとしても、決してそれで根治するのではない。一時は治ったようでも、長くて数年も経てば必ず再発する。というのはその隣の残る三枚の内の一枚に固結が必ずまた出来るからで、毒素は誰でも予想外に多いものである。しかも手術の際の消毒薬は、いつもいう通り非常な猛毒であるから、その中毒の排除作用が悪性な病気となり、弁膜症再発以外別な苦しみが追加されるから、患者は気の毒なものである。
では初めから手術もせず、浄霊もしないとしたらどうかというと、普通人の生活常態であれば、時々微熱が出たり、軽い痛み、鼓動の昂(たか)まり、息切れ等、いずれも軽い症状で、気にせずそのままにしておけば、自然に僅かずつ毒素は溶け、咳と痰となって出て、長くはかかるが、完全に治ってしまうので、手術などという余計な事をして、反って余病を作るのは、その無智哀れむべきである。