―― 岡 田 自 観 師 の 論 文 集 ――

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天才児童はどうして出来るか

『救世』53号、昭和25(1950)年3月11日発行

 先頃新聞を賑わした、六歳で素晴しい絵を描くという児童があったが、こういう豆児童はどうして生まれるかを書いてみるが、天才児童は昔からも時々現れるもので、西洋においても有名な音楽家等が六、七歳頃からピアノやヴァイオリンをよく弾いたり十歳を越してから大作曲を現すというような話もよく聞くのである、彼のシューベルトなども十何歳から三十一歳の死ぬまでの間に五百種以上の作曲をしたと言うのであるから、驚くべき天才であったに違いない、かような大天才の生まれるのは何か特別の原因がなくてはならないはずで、それをかいてみよう。
 これはもちろん霊的であって、唯物科学では全然見当がつかないから致し方ないとしても、この原因を知る事も必要事であろう、その意味で吾らは霊科学から解説するのである、この原因については、例えば音楽大家の霊の再生と憑依とのこの二つと思えばいい。
 今年に大音楽家があるとする、死後霊界に行っても好きな音楽は忘れる事が出来ない、その強い執着のため速く再生する、これがその一つで、別な一つとしては再生するまで待ち切れないため、自分の系統の者を探し求めてその児童に憑るので、手指の動くのを待って六、七歳頃になれば憑るのである、何しろ大音楽家であるから驚くべき技能を発揮する訳である、ところが、この場合縁のない者へは憑る事が出来ないから、自分の霊統の者特に児童に憑る、それは成人者より幼時ほど憑依しやすいからで、また思い通り自由に駆使されるからでもある、考えてもみるがいい、六つや七つの子供が普通であったら、成人者のような技能は有るはずがないが、以上のような訳を知れば天才児童も神童も出来るのもあえて不思議はないのである、しかし天才児童のことごとくが大成するとは限らない、中にはある年齢まででその後は普通になる者も往々あるが、これら再生ではなく憑依霊の場合に限るのである、という事は再生の方は、その霊自体が人間であるから変りようがないが、憑依霊の方は神の使命や祖霊の思惑のため、ある時期までで許されたものであるからである。