――― 岡 田 自 観 師 の 御 歌 集 ―――

 

御     歌

原   典

へいあんの ぶんかをうみしちゅうしんは このあたりなりとききしうれしさ
平安の 文化を生みし中心は 此辺りなりと聞きし嬉しさ
地上天国48
S28. 5.25
嵯峨紀行23
へいぎわや このあきをちりしくさぐさの おちばわくらばうずたかくつむる
塀際や 此秋を散りしくさぐさの 落葉わくら葉堆高くつむる
※わくら葉=病気で枯れた葉。
山と水 0361
S 6.11.10
落 葉
へいぼんな わざくりかえすわれなりき そのひそのひのたちてゆきにつ
平凡な 業くりかえす吾なりき 其日その日の経ちてゆきにつ
山と水 0796
S 8. 3.12
浅春を
惜しむ
へいぼんなせいかつをやぶろうとするいとを おれはぶんなぐる
平凡な生活をやぶらうとする意図を 俺はぶんなぐる
山と水 0638
S 7.**.**
このごろ
へいわのために はるまげどんのたたかいをうむのか
平和の為に ハルマゲドンの戦を生むのか
山と水 0757
S 8. 2. 5
時局と
日本
へりおとろーぷのかすかなかおり だんさーらしいにさんにんがゆく
ヘリヲトロープのかすかな香り ダンサーらしい二三人がゆく
※ヘリヲトロープ=ムラサキ科キダチルリソウ属の小低木から採れる香水。
山と水 0647
S 7.12.10
銀座の夜
へんぺんと ほそうろのうえまいくるう おちばたまりしひとところあり
片々と 舗装路の上舞ひ狂ふ 落葉たまりしひと処あり
山と水 0351
S 6.11.10
落 葉

 

 

御     歌

原   典

べいこくも それんもいましげんばくを つくりためつつあるぞおそろし
米国も ソ聯〔連〕も今し原爆を 造り溜めつゝあるぞ恐ろし
「栄光」 174
S27. 9.17
 
べいもそも ひにひにぐんびふやすさま みてははだえにあわしょうずるも
米もソも 日に日に軍備増やす様 見ては膚に粟生ずるも
「栄光」 172
S27. 9. 3
 

 

 

御   歌

原   典

ぺんもてる ゆびのゆるみにはるきぬを うべないかみにむかいてありけり
ペン持てる 指のゆるみに春来ぬを うべない紙に向いてありけり
山と水 0466
S 7. 1.16
春の
気はい

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