――― 岡 田 自 観 師 の 御 歌 集 ―――

 

御     歌

原   典

むかしから いくたえいゆういでしかも いまだへいわのえいゆういでざり
昔から 幾多英雄出でしかも 未だ平和の英雄出でざり
地上天国48
S28. 5.25
 
むかしから おおみたからととうとまる のうみんすくういまにぞありける
昔から 大百姓と尊まる 農民救ふ今にぞありける
地上天国54
S28.11.25
命の糧
むかしより いくつかかくめいありつれど いがくほどおおきかくめいなかりき
昔より いくつか革命ありつれど 医学ほど大き革命なかりき
S28. 2. 4 立春祭
御歌09
むかしより いくつかかくめいありつれど いがくほどおおきかくめいなかりき
昔より いくつか革命ありつれど 医学ほど大き革命なかりき
地上天国46
S28. 3.25
 
むかしより もものせいじゃはありつれど まことのちからもたざりしなり
昔より 諸の聖者はありつれど 真の力有たざりしなり
S26.12.23 御聖誕祭
御歌06
むかしより もものせいじゃはいでしかど やまいのもとをしるひとぞなき
昔より 諸の聖者は出でしかど 病の因を知る人ぞなき
光宝会資料
S25. 1. 1
新年御歌
祭典時37
むかしより もものせいじゃはいでしかど やまいのもとをしるよしぞなき
昔より 諸の聖者は出でしかど 病の因を知る由ぞなき
地上天国13
S24.12.21
大浄化
むかしより よをすくわんとかずしれぬ おしえいでしもすくわれぬよや
昔より 世を救はんと数知れぬ 教へ出でしも救はれぬ世や
「栄光」 205
S28. 4.22
 
むかつやま あめにけぶらいたにがわの せせらぐおとのみみみにたかしも
向つ山 雨にけぶらひ渓川の せせらぐ音のみ耳に高しも
山と水 0101
S 6. 7. 6
五月雨
むぎのいろ あおくひろごるはたのすえ かすみにあらでさくらさくなり
麦の色 青くひろごる畠の末 霞にあらで桜咲くなり
山と水 0541
S 7. 3.16
むぎのほの そろえるがみずにくっきりと うつりてとおなくひばりのこえあり
麦の穂の そろえるが水にくつきりと 映りて遠鳴く雲雀の声あり
山と水 0458
S 7. 1.15
梵 鐘
むげんぜったいの ちからのもとはすのかみの とうときみたまにありとこそしれ
無限絶対の 力の原は主の神の 尊き御魂にありとこそ知れ
地上天国51
S28. 8.25
 
むげんぜったいむしむしゅう これぞうちゅうのしんりなりける
無限絶対無始無終 これぞ宇宙の真理なりける
「栄光」 232
S28.10.28
 
むさしのは みわたすかぎりあおばして そらのはたてにふじみゆるなり
武蔵野は 見渡すかぎり青葉して 空のはたてに富士見ゆるなり
※はたて=端。はし。はて。
山と水 0017
S 6. 6. 3
富 士
むさしのを ここにみいでぬすすきうの ややにつづかうみちのへにきて
武蔵野を 此処に見出でぬ薄生の ややにつづかふ路の辺に来て
山と水 0309
S 6.10.20
武蔵野
の秋
むさしのを このこうげんにうつせるか すすきほなみのゆるるせんごく
武蔵野を 此高原に移せるか 芒穂波の揺るる仙石
地上天国53
S28.10.25
箱根の秋13
むざんにも よあらしふきてまだありし にわのもみじのはだかぎとなりぬ
無残にも 夜嵐吹きて未だありし 庭の紅葉の裸木となりぬ
山と水 0357
S 6.11.10
落 葉
むしのうた ものさんとしてむしのこえ ききいるたまゆらやぶかかすめぬ
虫の歌 ものさんとして虫の声 聴入るたまゆら薮蚊かすめぬ
※たまゆら=玉響。しばしの間。ほんの少しの間。
山と水 0209
S 6.**.**
むしのそうおんのなかにひときわすぐれている こおろぎのかいおんに うっとりとなる
虫の騒音の中に一際すぐれてゐる 蟋蟀の快音に うつとりとなる
山と水 0238
S 6. 9.20
秋(二)
むしのねの しらべはかなしわすれいる はかなきこいもおもほいぞする
虫の音の しらべはかなし忘れゐる はかなき恋もおもほいぞする
山と水 0991
S 8.**.**
虫の声
むしんろん はなたかだかととなえいる ひとまずほろびんしんぱんのとき
無神論 鼻高々と唱えいる 人先ず滅びん審判の時
「栄光」 240
S28.12.23
 
むしんろん はなたかだかととなえいる ものしりたちのあわれさいごは
無神論 鼻高々と唱えいる 物識達の哀れ最後は
「栄光」 239
S28.12.16
 
むしんろん はなたかだかととなえける ひとのあわれさはなへしおらるとき
無神論 鼻高々と唱へける 人の憐れさ鼻へし折らる時
「栄光」 192
S28. 1.21
 
むしんろん ゆうしんろんをむすぶこそ まことのぶんかのもといなりける
無神論 有神論を結ぶこそ 真の文化の基なりける
地上天国43
S27.12.25
 
むしんろんしゃ いよいよさいごのきつるとき かみのみまえにぬかずくあわれさ
無神論者 愈々最後の来つる時 神の御前に額く憐れさ
「栄光」 197
S28. 2.25
 
むそななつ としかさねくもこのとしの たつはるきょうのまたなきおもい
六十七つ 歳重ね来も此年の 立つ春今日のまたなき思ひ
岡田茂吉全集
S25. 2. 4
立春御歌
祭典時06
むそななつ としかさねくもこのとしの たつはるきょうのまたなきおもい
六十七つ 歳重ね来も此年の 立つ春今日のまたなき思ひ
「救世」49
S25. 2.11
立春御歌
(S25年)
むつまじく えだにむだいることりにも みるめをそらすわれのいまかな
むつまじく 枝にむだ居る小鳥にも 見る眼をそらす吾の今かな
山と水 0071
S 6. 7. 1

(仮想歌)
むつましく さいしとかたらいゆうげする こよなきたのしさあるよなりけり
睦しく 妻子と語らひ夕餉する 此上なき楽しさある世なりけり
明麿近詠集
S11. 5.**
025
美しき此世
むねぬちに かいきみたしつひねもすを おだいばおきにはぜつりにけり
胸ぬちに 海気充しつひねもすを 御台場沖に鯊釣りにけり
山と水 1125
S 9. 7.10
釣 魚
むらがらす のわきにあふられあふられて ゆうべのそらにきえにけるかも
むら鴉 野分にあふられあふられて 夕べの空に消えにけるかも
※野分=二百十日、二百二十日前後に吹く暴風。台風。
山と水 1159
S 9.12.10
野 分
むらきもの いのちたまいしみめぐみを うちわすれなばけものにひとしき
村肝の 生命賜いし御恵を うち忘れなば獣に等しき
御讃歌集
190
大御恵
むらきもの いのちたまいしみめぐみを うちわすれなばけものにひとしき
村肝の 命賜し御恵を 打忘れなば獣に等しき
御讃歌集
(改)048
吾救はれぬ
むらきもの いのちのかぎりたたかわん このよほろぼすまがのたくみと
村肝の 生命の限り戦はん この世滅ぼす曲のたくみと
明麿近詠集
S19. 2. 5
170
立春其他
むらきもの こころのめしいをいやしつつ すくいのかどにいざのうわれかな
村肝の 心の盲を医しつつ 救ひの門に誘ふわれかな
明麿近詠集
S21. 3. 6
254 吾
全集未収録
むらきもの こころをきよめしこのよを きよむるわざぞしんのわざなり
村肝の 心を清め醜の世を 浄むる業ぞ真の業なり
地上天国21
S26. 2.25
 
むらきもの こころをきよめしこのよを きよむるわざのひととなれかし
村肝の 心を浄め醜の世を 清むる業の人となれかし
御讃歌集
(改)207
身魂磨き
むらきもの とうときいのちはかしこくも かみのおんてにありとしれかし
村肝の 尊き命は畏くも 神の御手にありと知れかし
「栄光」 161
S27. 6.18
 
むらきもの われがこころにむちうちて ちからかぎりにこのよすくわむ
村肝の 吾が心に鞭うちて 力限りに此世救わむ
御讃歌集
270
※村肝の=臓腑に心が宿ると考えたことから、「心」「生命」にかかる枕詞。    
むらさきに おおかたかげるとうのした なりつくかねのおとのゆらめき
むらさきに 大方かげる塔の下 鳴りつく〔ぐ〕鐘の音のゆらめき
山と水 0525
S 7. 3.10
鐘の音
むらさきに におうあやめをはつなつの きょうめずらしとすいきょうにみぬ
紫に 匂ふあやめを初夏の 今日珍らしと水郷に見ぬ
山と水 0088
S 6. 7. 1
水郷めぐり
むらさきの かすみのおくにどんよりと ひうけてさくらのやまたたずまう
むらさきの 霞の奥にどんよりと 陽うけて桜の山たたずまふ
山と水 1218
S10. 4.16
春の陽
むらさきの やまなみつづかうゆうぐれを きしゃのまどごしわがみおくりつ
むらさきの 山並つづかう夕暮を 汽車の窓越しわが見送りつ
山と水 0574
S 7. 5.25
能登近く
むらさきの ゆうべのいろはくれなえる やまのもみじばつつみかねつつ
紫の 夕べの色はくれなえる 山のもみぢ葉包みかねつつ
山と水 0279
S 6.10.18
日光の秋
むらさめの それのごとくにむねすぎぬ われをあやまるひとのことばも
村雨の それのごとくに胸すぎぬ 吾を過る人の言葉も
山と水 0829
S 8. 4.10
世 相
むらむらの ゆうべをなけるひぐらしに おわれおわれてまちにいでける
村々の 夕べを啼ける蜩に 追はれおはれて町に出でける
山と水 0227
S 6. 9.20
秋(一)

46首