――― 岡 田 自 観 師 の 御 歌 集 ―――

 

御     歌

原   典

すいしょうの せかいとなればいかならん かくしごととてあらわるるなり
水晶の 世界となれば如何ならん 隠し事とて表はるるなり
祭典時御歌
S29. 3.23
春季大祭
御詠 11
すいしょうの せかいとなればいかならん かくしごととてあらわるるなり
水晶の 世界となれば如何ならん 隠し事とて表はるるなり
地上天国 59
S29. 6.15
 
すいすいと いなだのうえのやみぬいつ ほたるびひくくながれすぎける
すいすいと 稲田の上の闇縫ひつ 蛍火低く流れすぎける
山と水 0139
S 6. 8. 6
すいすいとあかとんぼが じゅうだいじけんでもおこったように そらをいそぐ
すいすいと赤蜻蛉が 重大事件でも起つたように 空をいそぐ
山と水 0241
S 6. 9.20
秋(二)
すいせんの めのすんばかりにさんぼん しろしものなかにみいでしこのあさ
水仙の 芽の寸ばかり二三本 白霜の中にみいでし此朝
山と水 0661
S 7.12.25
すいぼくの えをみるがごとうみのもの しまかげはるかこぶねもやえる
水墨の 絵を見るが如海の面の 島かげはるか小舟もやえる
山と水 0043
S 6. 6.15
安房歌紀行
すいみつとうを くいてべとべとするゆびに まんねんひつをやおらはさみぬ
水蜜桃を 食ひてべとべとする指に 万年筆をやをらはさみぬ
山と水 1130
S 9. 7.23
すがれたる なすのはたけにさむざむと ゆうひかそけくながらいており
す枯たる 茄子の畠に寒ざむと 夕陽かそけく流らひてをり
山と水 0312
S 6.10.20
武蔵野の秋
すがれたる にわきのなかにただひとつ あおきひろばのやつでえだはれる
すがれたる 庭木の中にただ一つ 青き広葉の八ツ手枝はれる
山と水 0637
S 7.12.10
冬 庭
すがれたる はすいけにかかるはしのうえに たてばゆうひのつめたくてらす
すがれたる 蓮池にかかる橋の上に たてば夕陽の冷たくてらす
山と水 1001
S 8.10.18
武蔵野探秋
百草園にて
※すがれる=(末枯れる)草木などが、冬が近づいて枯れはじめる。    
すぎこだち あおずみけらしやますその いえおおかたはさくらさくなり
杉木立 青づみけらし山裾の 家大方は桜さくなり
山と水 0572
S 7. 5.25
能登近く
すぎさりし ことをくやまずゆくさきを あんずるなかれかみにあるみは
過ぎ去りし 事を悔まず前途を 案ずる勿れ神にある身は
地上天国24
S26. 5.25
 
すぎしかた ふりさけみればただびとと ちがうさだめのわれにぞありける
過ぎし方 振さけみれば常人と ちがふ運命の吾にぞありける
明麿近詠集
S21. 3. 7
255
すぎしかた ふりさけみればやえむぐら いばらのみちをよくぞこえきし
過ぎし方 振さけみれば八重葎 茨の道をよくぞ越え来し
明麿近詠集
S23. 1. 1
328
神の守
すくわれし さちをおもえばみをつくし こころくだきてむくわでおかめや
救われし 幸を思えば身を尽し 心砕きて報わでおかめや
御讃歌集
199
こうせい
更生
すくわれし さちをおもえばみをつくし こころくだきてむくわでおかめや
救はれし 幸を思へば身をつくし 心砕きて酬はでおかめや
御讃歌集
(改)057
感謝報恩
すくわれて うれしむかれのよこがおを みつわがむねにせまるものあり
救はれて 嬉しむ彼の横顔を 見つ吾胸にせまるものあり
山と水 1170
S10. 1.10
すくわれて えらぎよろこぶまめひとの おもみるごとになにもわすれぬ
救はれて 歓ぎ喜ぶ信徒の 面見る毎に何も忘れぬ
明麿近詠集
S23. 1. 1
332
神の守
すくわれて おそるるものはよにあらじ かみをちからに すすむこのみは
救はれて 恐るるものは世にあらじ 神を力に進む此身は
御讃歌集
(改)347
安心立命
すこやかに いまわれあるはおおけなくも せそんがあつきめぐみとぞおもう
健かに 今我在るはおおけなくも 世尊があつき恵みとぞ思う
御讃歌集
185
大御恵
すこやかに かみがつくりしひとのみを いたつきつくるつみおおいなり
健やかに 神が造りし人の身を 病き造る罪大いなり
御讃歌集
(改)096
すこやかに ひといかしゆくわざにこそ かみのちからのありやかにみゆも
健やかに 人生かしゆく業にこそ 神の力のありやかに見ゆも
御讃歌集
(改)073
病なき世界
すこやかに ひといかしゆくわざにこそ かみのめぐみのちからみゆめり
健かに 人生かしゆく術にこそ 神の恵みの力見ゆめり
御讃歌集
090
病なき世界
すこやかに ひとのつとめをはたすこそ かみのめぐみにむくゆなりけり
健かに 人の務を果すこそ 神の恵みに報ゆなりけり
明麿近詠集
S18. 2. 5
143
立 春
すさまじき ひのせんれいのきぬるとて いとやすからめかみにあるみは
凄じき 火の洗霊の来ぬるとて いと安からめ神にある身は
S25.12.23 御聖誕祭
御歌04
すさまじく ふくはまかぜになみたかく はるかのしまやまのみつはきつも
すさまじく 吹く浜風に波高く はるかの島山呑みつ吐きつも
山と水 0180
S 6. 8.15
すずかぜは かやをあおりつつきのかげ へやいっぱいにひろごりにける
凉風は 蚊帳をあほりつ月の光 部屋一ぱいにひろごりにける
山と水 0157
S 6. 7. 6
月の光
すすきおう ののたたずみにふとみてし ききょうのはなにほほえまいいる
芒生ふ 野の佇みにふとみてし 桔梗の花にほほえまいゐる
山と水 0223
S 6. 9.20
秋(一)
すすきしろく あかつちやまをなかばうずめ あきぞらのまえによくととのえる
芒白く 赭土山を半ばうづめ 秋空の前によく調〔整〕える
山と水 0611
S 7.11.25
秋晴れ
すすきほを みちみちおりててにあまる ほどともなればえきのまぢかき
芒穂を 途みち折りて手にあまる ほどともなれば駅のまぢかき
山と水 0998
S 8.10.18
武蔵野探秋
すすきむら わけのぼるつきのむさしのを おもえばなにかしたしさおぼゆ
芒むら わけのぼる月のむさし野を おもえば何かしたしさおぼゆ
山と水 0971
S 8. 9.18
武蔵野をゆく
すずみゆく まちおりおりにでんせんの はりがねくろくいなずまひかるも
凉みゆく 街をりをりに電線の 針金黒く稲妻光るも
山と水 0128
S 6. 8. 6
稲  妻
すずめらの こえようやくにかしましく まどのあたりはうすあかるみぬ
雀らの 声やうやくにかしましく 窓のあたりはうす明るみぬ
山と水 0368
S 6.11.10
すっぽりとかけたよぎのしょっかんに とてもしたしさをかんずる しょしゅう
すつぽりと掛けた夜着の触感に とても親しさを感ずる 初秋
山と水 0237
S 6. 9.20
秋(二)
すなむらは ねぎばたすがれなのはたは あおあおしもよまだかたいなかなる
砂村は 葱畑すがれ菜の畑は 青あおしもよまだ片田舎なる
山と水 0700
S 8.**.**
城 東
新東京を詠む
すのかみ われにちからとちえたまい いきとしいけるものみなすくわる
主の神は 吾に力と智慧給ひ 生きとし生けるものみな救はる
祭典時御歌
S29. 1. 1
新年御詠
14
すのかみ われにちからとちえたまい いきとしいけるものみなすくわる
主の神は 吾に力と智慧給ひ 生きとし生けるものみな救はる
地上天国 57
S29. 2.25
新年御詠
すのかみに かわりてわれはさんがいの ばんれいすくうおおいなるわざ
主の神に 代りて吾は三界の 万霊救う大いなる業
地上天国55
S28.12.25
 
すのかみの きよきおんめにうつるらめ かみひとともによごれありせば
主の神の 清き御眼に映るらめ 神人共に汚れありせば
地上天国32
S27. 1.25
 
すのかみの けいりんのままわれはただ かみのうつわとなりつすすまん
主の神の 経綸のまま吾は唯 神の器となりつ進まん
「栄光」216
S28. 7. 8
 
すのかみの みちからかりてまがかみの ふかきしぐみをわれくだかなん
主の神の 御力借りて曲神の 深き仕組を吾砕かなむ
S28. 2. 4 立春祭
御歌06
すのかみの みちからかりてまがかみの ふかきしぐみをわれくだかなん
主の神の 御力借りて曲神の 深き仕組を吾砕かなむ
地上天国46
S28. 3.25
 
すのかみの みめよりみればあわれなる ひとにあるらめえいゆうというもの
主の神の 御眼よりみれば哀れなる 人にあるらめ英雄とふもの
「栄光」200
S28. 3.18
 
すのかみは いきとしいけるものみなに いのちをたまいさちをめぐもう
主の神は 生きとし生けるもの悉に 生命を賜い幸を恵まう
明麿近詠集S21. 3. 1 224
正 邪
すのかみは かがくとよべるしゅうきょうを くだしてぶっしつぶんかをつくりぬ
主の神は 科学と呼べる宗教を 下して物質文化造りぬ
地上天国51
S28. 8.25
 
すのぽちは あめりかのちにくだりけり やがてこうみょうかがやきそめなん
○ヽのポチは アメリカの地に降りけり やがて光明輝き初めなむ
地上天国52
S28. 9.25
 
すばらしき ぶんかもまがのてにあれば なやみのたねをつくるにぞある
素晴しき 文化も曲の手にあれば 悩みの種を作るにぞある
地上天国39
S27. 8.25
 
すみきらい ちりひとつなきかんれいの そのにけがれしたまあらわなん
澄みきらひ 塵一つなき函嶺の 苑に汚れし魂洗はなん
※函嶺、箱根山の異称。
美術館開館兼神仙郷完成記念祝賀式典御歌16
S27. 6.15
すみきらい ちりひとつなきかんれいの みそのにけがれしたまあらわなん
澄みきらひ 塵一つなき函嶺の 御苑に汚れし魂洗はなん
地上天国38
S27. 7.25
 
すみきらう あきのさんきをこころゆく ばかりすいつつこうげんをゆく
澄みきらふ 秋の山気を心ゆく ばかり吸ひつつ高原を行く
地上天国53
S28.10.25
箱根の秋22
すみだがわ くろきながれにありしひの さくらかりせしころのしのばゆ
隅田川 黒き流れに在りし日の 桜狩りせし頃のしのばゆ
山と水 0734
S 8. 3.10
向 島
新東京を詠む
すみだがわ ゆるきながれにしろじろと さくらなみきのかげいずちまでや
隅田川 ゆるき流れに白じろと 桜並木のかげいづちまでや
※いづち=(何方)どちらの方角。どちらの場所。どっち。どこ。
山と水 0539
S 7. 3.16
すみつきて しきのながめにことかかじ かみのさだめしそのにしあれば
住みつきて 四季の眺めに事かかじ 神の定めし苑にしあれば
明麿近詠集
S11. 5.**
039
玉川郷
すやすやねむっている あかごのはなべの なごやかなゆれ
すやすや眠つてゐる 嬰児の鼻辺の なごやかな揺れ
山と水 0438
S 7. 1.18
動 く
すわったざぶとんはばかにふくれている しきしまに まずひをつける
すわつた座蒲団は馬鹿にふくれてゐる 敷島に 先づ火を点ける
山と水 0608
S 7.11.20
炭 火
すんだくうきのなかにのうふがへいわにうごいている まるでごーがんのえだ
澄んだ空気の中に農夫が平和に動いてゐる まるでゴーガンの画だ
山と水 0235
S 6. 9.20
秋(二)

 

 

御     歌

原   典

ずいうんの たなびくおくにえのごとき かえんにうかむはくあのでんどう
瑞雲の 靉く奥に絵の如き 花苑に浮かむ白亜の殿堂
地上天国16
S25. 8.15
瑞雲天国

57首