――― 岡 田 自 観 師 の 御 歌 集 ―――

 御讃歌集(改訂版) 昭和26年5月28日~  462首収録

はしがき

  この讃歌集は、昭和二十三年八月出版したものを、今回改訂版として、新たに編集したものである。というのは、以前のは日本観音会当時著作したものであるか ら、世界救世教となった今日では適切でない歌も多々あり、又以前の時は急いだ為、意に充たない点もあったので、今度は充分意を注いで、念入りに作ったもの であるから、面目一新した訳である。
 日本には古くから、独特の文芸として和歌があった。この和歌なるものは、不思議な力をもっていて、千言万語でも言い表わせない事を、僅か三十一文字で、 よくその意を表現する事が出来、予想外に人を動かす力がある。それらによって私は、時折詠んだ感想歌、道歌、神歌、抒情歌、叙景歌等の中から、自選集録し て出来たのがこの著である。私は専門的歌人ではないから、巧拙などは余り意とせず、あるがままの、自然に感じたものを詠んだのであるが、ただ意を用いた点 は、誰でも判り易い事、品位の高い事、言霊の妙を発揮した事等で、これを朝夕奉唱する事によって、自然によい影響を受け、信仰の深まるのは言う迄もない。

 昭和二十六年五月
                著 者 識

※ *は初版掲載のお歌に修正を加えたもの。**は初版掲載の御歌の再録です。
※ 版により表記に細かな修正が加えられているので、ここでは昭和29年10月25日版を最終版として収録しました。〔 〕内は昭和26年版の表記です。

     
    五六七大神(みろくおおかみ) 10首  
1 ひみずつち さんみいったいのみちからを そなえていでますみろくおおかみ
火水土 三位一体の御力を 具へて出でます五六七大神
**
2 ちじょうてんごく うちたてんとておおいなる ちからふるわすみろくおおかみ
地上天国 打樹てむとて大いなる 力揮はす五六七大神
**
3 ぬすびとの きつるがごとくひそやかに げしょうしましぬみろくおおかみ
盗人の 来つるが如く窃やかに 下生しましぬ五六七大神
*
4 ばんにんの さいりんまちしきりすとも めしやもみろくもおなじかみなる
万人の 再臨待ちしキリストも メシヤも弥勒も同じ神なる
*
5 いとたかき みくらをあとにみすくいの ためにみろくはげしょうまし〔げしょうし〕ませり
いと高き 御位を後に御救いの 為に弥勒は下生まし下生しませり
*
6 ためしなき かみのちからによらずして などすくはめやこのうつしよを
例しなき 神の力に依らずして など救はめや此現世を
*
7 ちはやぶる かみのみひかりさしそめて ちりもあくたもきゆるうれしさ
千早振 神の御光射し初めて 塵も芥も消ゆる嬉しさ
*
8 いくちとせ つもりつもりしちりあくた はらいきよめよよはしらのかみ
幾千年 積りつもりし塵芥 祓ひ浄めよ四柱の神
**
9 ひとみずの だいせんれいにうちきよめ ちじょうてんごくたつるとききぬ
火と水の 大洗霊に打浄め 地上天国樹つる時来ぬ
**
10 ちじょうてんごく うちたつるまでのいとふかき しぐみにありぬながきれきしは
地上天国 打樹つるまでのいと深き 仕組にありぬ長き歴史は
**
     
     伊都能売神(いづのめのかみ) 9首  
11 ひさかたの あめのまないのやすがはら うけひにあれしやたりおめがみ
久方の 天之真名井の八洲河原 誓約にあれし八人男女神
*
12 やたりおとめ ただひとはしらのかむみたまと ならせこのどにいずのめのかみ
八人男女 唯一柱の神御霊と 成らせ此土に伊都能売神
*
13 あまかけり くにかけりこんごうの みちからふるういずのめきんりゅう
天翔り 国馳り金剛の 御力揮ふ伊都能売金龍
*
14 ぶっかいに こうみょうにょらいとあれたまい すくわせたまいしいずのめのかみ
仏界に 光明如来と生れ給ひ 救はせ給ひし伊都能売神
 
15 ながきよを けぶつにすくいたまいしは だいじだいひにあればなりけり
長き世を 化仏に救ひ給ひしは 大慈大悲にあればなりけり
 
16 ごはひにて さんはみずなりいずとみず むすびてなるぞいずのめのかみ
五は火にて 三は水なり五と三 結びてなるぞ伊都能売神
 
17 ごはおのこ さんはおみなのさがをいう たてよこいんようのいみにぞありける
五は男 三は女の性をいふ 経緯陰陽の意味にぞありける
 
18 おのこにも あらずおみなにもまたあらぬ かんのんこそはいずのめのかみ
男にも 非ず女にも亦あらぬ 観音こそは伊都能売神
 
19 じゆうむげの みちからふるうかんのんは じゅうのみたまにあればなりけり
自由無碍の 御力揮ふ観音は 十の御霊にあればなりけり
 
     
     光明世界(こうみょうせかい) 9首  
20 よるのおしえ よるのぶんかはすみにけり こうみょうせかいのきたらんとして
夜の教 夜の文化は済みにけり 光明世界の来たらんとして
*
21 いくちとせ あくがれまちしこうみょうの かがやくみよはいまきつるなり
幾千歳  あくがれ待ちし光明の 輝く御代は今来つるなり
*
22 ふゆのよは はやすぎさりてはなわらい ももとりうたうはるはきぬめり
冬の夜は はや過ぎ去りて花笑ひ 百鳥歌ふ春は来ぬめり
**
23 やみのなき みよになやみのあるべしや まがのさやらむすきのなければ
闇のなき 御代に悩みのあるべしや 曲の障やらむ隙のなければ
**
24 あだぐもは とおのきにけりひさかたの みそらにてらうおおきひのかげ
仇雲は 遠退きにけり久方の 御空に照らふ大き日の光
*
25 おおかみの つくりたまいしあめつちの やみにいつまでとざさるべしやは
大神の 造り給ひし天地の 闇にいつまで閉ざさるべしやは
*
26 もろびとの こころのいわとひらくれば このよのやみはきゆるなるらむ
諸人の 心の岩戸開くれば 此世の闇は消ゆるなるらむ
*
27 うばたまの よるのおわりとなりにけり はやひんがしにあかときのかね
烏羽玉の 夜の終りとなりにけり はや東にあかときの鐘
**
28 だいこうみょう せかいというはくもりなき すいしょうせかいのさまをいうなり
大光明 世界といふは曇りなき 水晶世界の状をいふなり
**
     
     黎 明(れいめい) 11首  

29

ほのぼのと よのれいめいはきつるなり ひ〔む〕がしのはてにまなことどめそ
ほのぼのと 世の黎明は来つるなり 東のはてに眼とどめそ
**
30 のきさきの すずめのこえもいさましし あさひこのかげさしそめてより
軒先の 雀の声も勇ましし 朝日子の光射し初めてより
*
31 あけがらす なくねにみればそらあかく そめてかがようあさひこのかげ
明烏 啼く音に見れば空紅く 染めて輝よふ朝日子の光
**
32 ほのぼのと ひんがしのそらあかるみて れいめいつぐるかけどりのこえ
ほのぼのと 東の空明るみて 黎明告ぐる家鶏鳥の声
**
33 はやすでに とこやみのよのすぎけるを しらでまよえるこひつじのむれ
はや已に 常暗の夜のすぎけるを 知らで迷える小羊の群
*
34 つきのよの おぐらきかげにもろもろの つみやけがれのあるるぞせんなし
月の夜の 小暗き蔭に諸々の 罪や穢の生るるぞ詮なし
**
35 まひるまの あかるきみよにいかにして かくしごとなどよもあらめやは
真昼間の 明るき御代に如何にして 隠事などよもあらめやは
*
36 よこしまや かくしごとなどたえぬよは とこやみのまだのこればなりけり
邪や 隠事など絶えぬ世は 常暗のまだ残ればなりけり
*
37 よるのやみに なれしもろびとこころせよ まひのひかりにまなこくらまむ
夜の暗に 馴れし諸人心せよ 真陽の光に眼くらまん
*
38 くらかりし こころのそらもさながらに まひるのごとくはれしうれしさ
暗かりし 心の空も宛らに 真昼の如く晴れし嬉しさ
*
39 れいめいに きづくひとこそまことなる まなこをもてるしるしなりける
黎明に 気づく人こそ真なる 眼をもてる徴しなりける
**
     
     吾救はれぬ(われすくわれぬ) 11首  
40 いのちさえ あやうきほどのいたつきも いえてめぐみにひたるうれしさ
命さへ 危ふき程の病きも 癒えて恵みに浸る嬉しさ
**
41 わがいのち よみがえるさえうれしきに いやしのわざまでゆるされにける
我生命 蘇へるさへ嬉しきに 医しの業まで許されにける
*
42 いたつきの いやされたりしうれしさよ いのちにかえるたからなければ
病きの 癒されたりし嬉しさよ 生命に代へる宝なければ
*
43 いのちほど とうときものはよにあらじ ひたにすがりてよわいのばさむ
生命程 尊きものは世にあらじ ひたに縋りて齢延ばさむ
**
44 みめぐみに むくいまつらでおくべきや いきしこのみのさちをおもえば
御恵に 酬ひ奉らでおくべきや 生きし此身の幸を思えば
*
45 つみふかき このみもとがめたまわずて おおいなるさちゆたにめぐもう
罪深き 此身も尤め給はずて 大いなる幸豊に恵まふ
*
46 たたえても たたえつくせぬみめぐみに むくわんすべのなきぞかなしき
讃へても 祢へつくせぬ御恵に 酬はむ術のなきぞ悲しき
**
47 みめぐみの まんぶんいちにとどかねど まことのしるしうけさせたまえ
御恵の 万分一に届かねど 誠のしるし受けさせ給へ
*
48 むらきもの いのちたまいしみめぐみを うちわすれなばけものにひとしき
村肝の 命賜し御恵を 打忘れなば獣に等しき
*
49 せんおくの とみにもましてうれしきは つつがなみけるみにしあるなり
千億の 富にもまして嬉しきは 恙なみける身にしあるなり
*
50 おおまえに ぬかづくごとになみだしぬ すくわれたりしこのみおもえば
大前に 額く毎に涙しぬ 救はれたりし此身思へば
**
     
     感謝報恩(かんしゃほうおん) 9首  
51 つつがなく ただあるさえもおおけなきに すくいのみちにいりしうれしさ
恙なく 只在るさへもおほけなきに 救ひの道に入りし嬉しさ
**
52 たたえても たたえつくせぬおおみさち ふでもことばもあらわすよしなき
讃へても 称へ尽くせぬ大御幸 筆も言葉も表はす由なき
*
53 よをのろい ひとをうらみしそのころの こころのくもりはきえてあとなき
世を呪い 人を恨みし其頃の 心の曇りは消えて跡なき
*
54 たらちねの ちちははなくばうつしよに このみこのたまあらじとぞおもう
垂乳根の 父母なくば現世に 此身此魂あらじとぞ思ふ
**
55 はらからと むつみあうみとなりにける かみのみひかりかかぶりてより
同胞と 睦み合ふ身となりにける 神の御光蒙ぶりてより
**
56 ひとのみの とうときわけはもものおん こころにきざみてわすれねばなり
人の身の 尊き訳は諸の恩 心に刻みて忘れねばなり
**
57 すくわれし さちをおもえばみをつくし こころくだきてむくわでおかめや
救はれし 幸を思へば身をつくし 心砕きて酬はでおかめや
*
58 いそのべの まさごにひとしきみにしあれど うけさせたまえまことのしるしを
磯の辺の 真砂に等しき身にしあれど 受けさせ給へ誠のしるしを
*
59 ちからなき みにしあれどもみちのため つくさせたまえいずのめのかみ
力なき 身にしあれども道の為 尽くさせ給へ伊都能売神
*
     
     人の道(ひとのみち) 10首  
60 みちのため よのためひとのためのみを ときじくおもうひとぞとうとき
道の為 世の為人の為のみを 非時思ふ人ぞ尊き
*
61 およそよに つよきはおのれをうちわすれ ただしきみちをつらぬくひとなり
およそ世に 強きは己を打忘れ 正しき道を貫く人なり
**
62 さもしきは おのがてがらをもろびとに しめさんとするこころにぞある
さもしきは 己が手柄を諸人に 示さむとする心にぞある
*
63 ししんなく ただしきみちをまもりなば おおみめぐみをゆたにうくなり
私心なく 正しき道を守りなば 大御恵を豊に享くなり
 
64 ゆかしけれ わがみのことをあとにして ひとのよかれとねがうこころの
床しけれ 我身の事をあとにして 人のよかれと願ふ心の
*
65 なにごとも ほどのいちじをまもりなば たやすかるべきこのよなりけり
何事も 程の一字を守りなば 容易すかるべき此世なりけり
*
66 まがびとは よわきものなりもろもろの つみにうちかつちからなければ
曲人は 弱きものなり諸々の 罪に打克つ力なければ
**
67 たかきひくきの けじめをつけずねもごろに おしゆひとこそみむねにかなわん
高き低きの 差別をつけず懇ろに 教ゆ人こそ御旨に叶はむ
*
68 ひとのめを ぬすむはすでにひとのもの ぬすむとおなじことにぞありける
人の目を 盗むは已に人の物 盗むと同じ事にぞありける
 
69 いかならん こともこらえてさりげなく ほほえみあしらうひととなれかし
如何ならむ 事も堪へてさりげなく 微笑みあしらふ人となれかし
*
     
     病なき世界(やまいなきせかい) 8首  
70 やむひとの なきよたてんときゅうせいの かみはみちからふるわせたもう
病む人の 無き世を樹てむと救世の 神は御力揮はせ給ふ
*
71 いそのかみ ふるきかみよはもろびとの ことぶきひゃくをこえしとぞいう
石の上 古き神代は諸人の 寿百を越えしとぞ言ふ
**
72 ひとのよわい ひゃくをこえたるふるきよは くすりといふものあらざりしなり
人の齢 百を越へたる古き世は 薬といふものあらざりしなり
*
73 すこやかに ひといかしゆくわざにこそ かみのちからのありやかにみゆも
健やかに 人生かしゆく業にこそ 神の力のありやかに見ゆも
*
74 やまいなど あるべきはずはよもあらじ まことのみちをふむひとにして
病など あるべき筈はよもあらじ 誠の道を履む人にして
**
75 いたつきを おそるなつもりしつみけがれ きよむるかみのめぐみなりせば
病きを 怖るな積りし罪穢 浄むる神の恵なりせば
*
76 いたつきの もとしらずしていたつきを なおさんとするひとのおろかさ
病きの 因知らずして病きを 治さむとする人の愚かさ
 
77 いたつきは ひとつくるものけんこうは かみつくるものとしれよよびとはも
病きは 人造るもの健康は 神造るものと知れよ世人はも
 
     
     神の御心(かみのみこころ) 10首  
78 くしびなり ああくしびなりねぎごとの ただしかりせばかなえますなり
奇びなり 嗚呼〔噫〕奇びなり願事の 正しかりせば叶へますなり
**
79 よをすくう ときのちからはかむながら かみのみむねにありとこそしれ
世を救ふ 時の力は惟神 神の御旨にありとこそ知れ
**
80 ひとのめに よしとしうつることとても かみのみむねにかなわぬことあり
人の眼に 善しとし映る事とても 神の御旨に適はぬ事あり
**
81 はるぬのに あそぶがごとくうらたのし かみのれいいにつつまるるみの
春ぬ野に 遊ぶが如く心楽し 神の霊衣に包まるる身の
*
82 いかならん つみもゆるさせいかならん つみもとがむるあめつちのかみ
如何ならむ 罪も赦させ如何ならむ 罪も尤むる天地の神
**
83 たらちねの こをおもうごとおくちょうを めぐもうかみのみこころかしこし
垂乳根の 子を憶ふ如億兆を 愛まふ神の御心畏し
 
84 おおぞらの ひろきをあおぎておもうかな かぎりもしらぬおおみこころを
大空の 広きを仰ぎて憶ふかな 限りもしらぬ大御心を
 
85 かみは あいなりちからなれば かみをはなれてやすんじうべきや
神は 愛なり力なれば 神を離れて安んじ得べきや
 
86 かみのあい こころのそこよりしりてより さびしさしらぬわれとなりける
神の愛 心の底より知りてより 寂しさ知らぬ吾となりける
 
87 わだのはら そこいもしれぬいとふかき めぐみにおにもなみだするらむ
和田の原 底ひも知れぬいと深き 恵みに鬼も涙するらむ
*
     
     神 業(かむわざ) 7首  
88 きりすとも しゃかもたたえんおおいなる わがかむわざをてんごくにいまして
キリストも 釈迦も讃へむ大いなる 我神業を天国に居まして
*
89 くしびなる このかむわざにくらぶもの ひろきうつしよにあらじとぞおもう
奇びなる 此神業に比ぶもの ひろき現世にあらじとぞ思ふ
**
90 かりこもの みだれたるよをうちきりて ただしきみよをうちたつるなり
刈菰の 乱れたる世を打切りて 正しき御代を打樹つるなり
 
91 ささやかな ひとのちえもておおいなる ぐせのみわざのわからざらめやは
小やかな 人の智慧もて大いなる 救世の御業の解らざらめやは
*
92 くしびなる わがかむわざはいにしえゆ ふみにもみえずいいつたえにもなき
奇びなる 我神業は古へゆ 書にも見へず言伝へにもなき
*
93 おおかみの みわざといえどひとのみを つうじてよびとすくうにありける
大神の 御業といへど人の身を 通じて世人救ふにありける
 
94 ひさかたの あめよりくだるきゅうせいの かみのみわざのとうとかりける
久方の 天より降る救世の 神の御業の尊かりける
 
     
     病(やまい) 9首  
95 やまいとは みたまきよむるものなれば こよなきかみのめぐみなりけり
病とは 身魂浄むるものなれば 此上なき神の恵みなりけり
 
96 すこやかに かみがつくりしひとのみを いたつきつくるつみおおいなり
健やかに 神が造りし人の身を 病き造る罪大いなり
 
97 ひとのみは かみがつくりしものにして ひとのつくりしものにはあらじ
人の身は 神が造りしものにして 人の造りしものにはあらじ
 
98 いたつきの もとはくすしにあるをしらす すくいのわざのむつかしきかも
病きの 因は薬にあるを知らす 救ひの業の難しきかも
 
99 いたつきを かなしむひとぞあわれなり いとよろこばんことにしありせば
病きを 悲しむ人ぞ哀れなり いと喜ばむ事にしありせば
 
100 たかどのに にしきまとうもいたつきに もだえるひとぞいとあわれなる
高殿に 錦纏うも病きに 悶える人ぞいと哀れなる 
*
101 いたつきの いえしよろこびいやまして とうときみたまいつくうれしさ
病きの 癒えし喜びにいやまして 尊き御霊斎く嬉しさ
**
102 おおけなくも かみのしもべにえらばれし さちもいたつきがえにしなりけり
おほけなくも 神の僕に選ばれし 幸も病きが縁なりけり
 
103 たまわりし とうときいのちきょうよりは ちからかぎりにかみにつかえん
賜はりし 尊き生命今日よりは 力限りに神に仕へむ
 
     
     斎き奉りて(いつきまつりて) 9首  
104 こうみょうにょらい いつきまつりてかしこくも わがいえぬちはあかるみにけり
光明如来 斎き奉りて畏くも 吾家ぬちは明るみにけり
*
105 きょうよりは もものわざわいきえぬらむ こうみょうにょらいいつきまつりて
今日よりは 諸の災ひ消えぬらむ 光明如来斎き奉りて
*
106 たまのよに いまださまよえるうかららの かみのひかりにすくわれしきょう
霊の世に 未だ彷へる家族等の 神の光に救はれし今日
**
107 かみにいのる われとなりけりたまのよの うからやからもむだよろこばん
神に祈る 吾となりけり霊の世の うからやからも共喜ばむ
 
108 みまつりの きょうのうれしさみもたまも てんごくらくどにあそぶおもいすも
御祭りの 今日の嬉しさ身も魂も 天国楽土に遊ぶ思ひすも
 
109 おおまえに ぬかづきおろがむこころこそ いわとひらけししるしなるらん
大前に 額き拝がむ心こそ 岩戸開けし徴しなるらむ
 
110 ありがたし ああありがたしゆくてには こうみょうかがやくみちみゆるなり
有難し 嗚呼有難し行手には 光明輝く道見ゆるなり
 
111 みもたまも かみのひかりにきよめられ てんごくにすむわれとなりける
身も魂も 神の光に浄められ 天国に住む吾となりける
 
112 てんごくを このどにつくるおおみわざの しもべとなりしきょうのうれしさ
天国を 此土に造る大神業の 僕となりし今日の嬉しさ
 
     
     神を讃へる(かみをたたえる) 9首  
113 よのひとの いくとせあくがれまちしらむ すくいのかみはあれましにけり
世の人の 幾歳憧れ待ちしらむ 救ひの神は現れましにけり
 
114 うつしよの いきとしいけるものみなは かみのめぐみにもるるはあらじな
現世の 生きとし生けるもの悉は 神の恵みに漏るるはあらじな
*
115 よのひとを すくうちからはりにあらず みえざるかみのめぐみにぞあらん
世の人を 救ふ力は理にあらず 見えざる神の恵にぞあらむ
*
116 かみをちからに まことのつえもてすすむみは よにおそるものなきをしりけり
神を力に 誠の杖もて進む身は 世に怖るものなきを知りけり
**
117 よのけがれ きよめてもものくるいため ただしきみよをたつるかむわざ
世の穢れ 浄めて諸の狂ひ矯め 正しき御代を樹つる神業
*
118 ひとのよは はやすみにけりまちわびし かみのおおみよいよよきにけん
人の世は 早すみにけり待ち侘びし 神の大御代弥よ来にけむ
 
119 ぶつりきは かぎりあるなりしんりきは かぎりとてなくぜったいりきなる
仏力は 限りあるなり神力は 限りとてなく絶対力なる
 
120 かんぜおんの みなのすくいはぶつのよを かぎりにかみのみなとかわりぬ
観世音の 御名の救ひは仏の世を 限りに神の御名と変りぬ
 
121 しんぶつは どうこんなりとのことはりを しりてゆこころのそらははれける
神仏は 同根なりとの理を 知りてゆ心の空は霽れける
 
     
     メ シ ヤ 10首  
122 だいメシヤの みなはさいごのよをすくう とうときみななりこころせよかし
大救世主の 御名は最後の世を救ふ 尊き御名なり心せよかし
 
123 ばんみんの なやみくるしみはてもなき よぞすくわんとメシヤあもりぬ
万民の 悩み苦しみ涯もなき 世ぞ救はむと救主天降りぬ
 
124 ばんみんの いのちをすくうみわざこそ こよなきとうときものにぞありける
万民の 生命を救ふ神業こそ 此上なき尊きものにぞありける
 
125 はれるやはれるや メシヤのかみのうつしよに くだらせたまわぬときぞたのしき
ハレルヤハレルヤ 救世主の神の現世に 降らせ給はむ時ぞ楽しき
 
126 かんのんの ころもをかなぐりすてたまい めしやとあるるおおいなるとき
観音の 衣をかなぐり捨て給ひ メシヤと生るる大いなる時
 
127 あまたある おしえをすくうおしえこそ めしやののらすおしえなりけり
数多ある 教を救ふ教こそ メシヤの宣らす教なりけり
 
128 えいこうの くもよりくだるだいメシヤを かんこのこえにむかううれしさ
栄光の 雲より降る大救世主を 歓呼の声に迎ふ嬉しさ
 
129 うきのよを きりかえまさんちからこそ めしやのふるうちからにぞある
憂きの世を 切り替へまさむ力こそ メシヤの揮ふ力にぞある
 
130 きりすとや しゃかまほめっとのまちわびし めしやのかみはあもりましける
キリストや 釈迦マホメットの待ち侘びし メシヤの神は天降りましける
 
131 たいぼうの メシヤうまれぬけいしょうを ひたうちならしよびとさまさん
待望の メシヤ生まれぬ警鐘を ひた打鳴らし世人醒まさむ
*
     
     神 恩(しんおん) 10首  
132 そのころを かえりみすればおそろしも やみじつえなくさまよいしわれ
其頃を 顧みすれば恐ろしも 闇〔暗〕路杖なく彷ひし吾
**
133 だんがいの ゆくてにあるがしられけり かみのひかりにてらされてより
断崖の 行手にあるが知られけり 神の光に照らされてより
*
134 いまさらに すぎにしことをわすれなん わがおろかさのとがにありせば
今更に 過ぎにし事を忘れなむ 我愚かさの尤にありせば
*
135 ふきすさぶ よあらしとてもわすれける かみのひかりにつつまれてより
吹き荒ぶ 世嵐とても忘れける 神の光に包まれてより
*
136 めしいほど はかなきものはよにあらじ ちかどのたからしるよしもなく
盲ほど 儚きものは世にあらじ 近処の宝知る由もなく
**
137 ひとごとと おもいしこともいつしかに わがみのうえにふりかかるよや
人事と 思ひし事もいつしかに 我身の上にふりかかる世や
**
138 せいしんの かがみによらでいかにして よろずのさかごとうつらざらめや
正神の 鏡によらで如何にして 万の逆事映らざらめや
*
139 ちからなく つえなくともしびもたぬみの かみにすがらであゆみうべしや
力なく 杖なく灯火有たぬ身の 神に縋らで歩み得べしや
 
140 みひかりを あびてゆかいぎのよこみちに それしわれはもすくわれにける
御光を 浴びてゆ懐疑の邪道に 外れし吾はも救はれにける
 
141 わがうけし さちのあまりにおおきければ たたえるすべのなきぞうたてき
我享けし 幸の余りに大きければ 讃へる術のなきぞうたてき
 
     
     世に処して(よにしょして) 10首  
142 つたなくも まことにいずることのはは ひとをうごかすちからありけり
拙なくも 誠に出づる言の葉は 人を動かす力ありけり
**
143 いうべきと いわでよきことあるよなり みちにあるものこころせよゆめ
言ふべきと 言はでよき事ある世なり 道にあるもの心せよゆめ
**
144 じょうこんの ひとのしるしはまじわりて なにかはしらにゆかしさほのめく
上魂の 人のしるしは交はりて 何かはしらに床しさ仄めく
**
145 こころよきは しろきをしろとそのままに のることのはをきくにぞありける
快きは 白きを白とそのままに 宣る言の葉を聞くにぞありける
**
146 えんまんに ものをおさむるひとにして もろもろのひとしたいくるなり
円満に ものを治むる人にして 諸々の人慕ひくるなり
**
147 ささやかな こととしいえどゆるがせに せぬひとにしておおきことなる
小やかな 事としいへど忽せに せぬ人にして大き事なる
**
148 ちいさなる まなこをもてるはかなさは おおいなるみちみうしなうなり
小さなる 眼をもてる儚なさは 大いなる道見失ふなり
**
149 かむながら かみのまにまにすすむこそ うきのよやすくわたるみちなり
惟神 神のまにまに進むこそ 憂きの世易く渡る道なり
*
150 いぶかしむ なかれよびとよおもうこと ならぬはこころにくもりあるなり
訝しむ 勿れ世人よ思ふ事 ならぬは心に曇りあるなり
*
151 あめつちの まことのみちをまもるより ほかにすべなしひとのこのよは
天地の 誠の道を守るより 外に術なし人の此世は
*
     
     天国と地獄(てんごくとじごく) 9首  
152 おのがてに ろうごくつくりそのなかに くるしむひとぞあわれなりける
己が手に 牢獄作りその中に 苦しむ人ぞ哀れなりける
 
153 てんごくを つくるもじごくをつくるのも こころのままなりひととうものは
天国を 作るも地獄を作るのも 心のままなり人とふものは
 
154 よしやよし ひとのまなこはかくすとて おのがまなこはかくすよしなき
よしやよし 人の眼はかくすとて 己が眼は隠すよしなき
 
155 めにみゆる もののみしりてめにみえぬ ものしらぬこそまことのめしいぞ
目に見ゆる もののみ知りて眼に見えぬ 物知らぬこそ真の盲ぞ
 
156 しゅうちゃくと きりなきよくのしがらみに みもたましいもほろぶるなりけり
執着と きりなき慾の柵に 身も魂も滅ぶるなりけり
*
157 ながきよを まよいまよいてきつるわれ かみのひかりにめざめしうれしさ
長き世を 迷ひ迷ひて来つる吾 神の光に目覚めし嬉しさ
 
158 ゆめとのみ おもいしさちのまざまざと めにみゆるなりなみだあふるる
夢とのみ 思ひし幸のまざまざと 眼に見ゆるなり涙溢るる
 
159 くらかりし このうつしよもいつかしら あかるくなりぬわれすくわれてより
暗かりし 此現世もいつかしら 明るくなりぬ吾救はれてより
**
160 ぬばたまの やみもひかりのさしそめて きえにけるかなわがいえぬちは
奴羽玉の 闇も光の射し初めて 消えにけるかな我家ぬちは
*
     
     大神業(だいしんぎょう) 8首  
161 びょうひんそう ぜつむのせかいつくらんと よさしたまえりかみはわがみに
病貧争 絶無の世界造らむと 任し給へり神は我身に
 
162 ためしなき ことにこそあれやみのなき だいせんせかいのあれまさんとは
例しなき 事にこそあれ闇のなき 大千世界の生れまさむとは
**
163 うしとみし よはすぎにけりこころせよ たのしきみよはいまあれんとすも
憂しとみし 世は過ぎにけり心せよ 楽しき御代は今生れんとすも
*
164 ちはやぶる かみのひかりにてらされて せいじゃのみちのめにうつるなり
千早振 神の光に照らされて 正邪の道の眼に映るなり
*
165 ひさかたの あまつみくにをちのうえに うつさんとするわがねがいかな
久方の 天津御国を地の上に 映さむとする吾願ひかな
*
166 おおいなる かみのちからによらずして などすくわめやこのしこのよは
大いなる 神の力に依らずして など救はめや此醜の世は
 
167 てんごくを このどにつくるぶんめいは かみのみむねにひそめたまわん
天国を 此土に造る文明は 神の御胸に秘め給はむ
 
168 びょうひんそう なやみくるしむぶんめいは いつわりのぶんめいにあればなりけり
病貧争 悩み苦しむ文明は 偽りの文明にあればなりけり
 
     
     天地開明(てんちかいめい) 7首  
169 あずさゆみ はるたちそめてこのはなの かおりはよもににおいぬるらん
梓弓 春立ち初めて兄の花の 香りは四方に匂ひぬるらむ
*
170 ながきよの やみのとばりもしずしずと あけはなれけりまなこさませよ
長き世の 闇の帳もしづしづと 開けはなれけり眼醒ませよ
*
171 いまわしき ことのみおおきうつしよは やみのとばりののこればなりける
忌はしき 事のみ多き現世は 闇の帳の残ればなりける
*
172 うばたまの やみよになれしひとのめに まばゆかるらんかみのひかりは
烏羽玉の 暗夜に馴れし人の目に 眩ゆかるらむ神の光は
*
173 こうみょうは はやさしそめぬもろびとよ こころのとびらうちひらけかし
光明は 早射し初めぬ諸人よ 心の扉うち開けかし
*
174 おおかみの ひかりあまねくただよいて よみがえるなりもものたみぐさ
大神の 光遍く漂ひて 甦へるなり諸の民草
*
175 ひのひかり かがやきそめてまがつらの かくるるすきのなきぞはかなき
日の光 輝き初めて曲津等の 隠るる隙のなきぞ儚なき
 
     
     理想世界(りそうせかい) 7首  
176 ちじょうてんごく みろくのみよとひとよぶも りそうせかいのことにぞありける
地上天国 弥勒の御代と人称ぶも 理想世界の事にぞありける
*
177 よきひとの よろこびあしきひとほろぶ ただしきみよのきつるうれしさ
善き人の 喜び悪しき人滅ぶ 正しき御代の来つる嬉しさ
*
178 おおかみは あめつちももをすみきよめ りそうせかいをうちたてますらん
大神は 天地諸を澄み浄め 理想世界をうち樹てますらむ
*
179 ちりほどの つみやけがれもかくされぬ みよをすいしょうせかいというなる
塵程の 罪や穢れも隠されぬ 御代を水晶世界といふなる
*
180 くもひとつ かくすよしなきおおぞらは すいしょうせかいのすがたなるらん
雲一つ 隠すよしなき大空は 水晶世界の姿なるらむ
**
181 いそのかみ ふることぶみにもいまだみぬ ちじょうてんごくのうるわしのすがたよ
石の上 古事記にも未だ見ぬ 地上天国の美はしの姿よ
*
182 さんかいばんれい もれなくかんきにひたるらん おおみひかりのくまなくてらせば
三界万霊 洩なく歓喜に浸るらむ 大神光の隈なく照らせば
 
     
     の世(やみのよ) 10首  
183 ひとのめは いっすんさきもみえぬなり たのむはかみのみまもりなりける
人の眼は 一寸先も見えぬなり 頼むは神の御護りなりける
 
184 とこやみの みちにさまようこひつじを いとねもごろにみてにいざなう
常暗の 道に彷ふ小羊を いと懇ろに神手に誘ふ
 
185 なやみおおき このうつしよをなやみなき ひかりのみちにいざなうかみはも
悩み多き 此現世を悩みなき 光の道に誘ふ神はも
 
186 ぬばたまの やみにうごめくこひつじを こうみょうのみちにいざなうわれかな
奴羽玉の 暗に蠢めく小羊を 光明の道に誘ふ吾かな
 
187 ものしりの いざなうみちのゆくてには とらおおかみのくちあけまちおり
物識の 誘ふ道の行手には 虎狼の口開け待ちをり
 
188 あやまれる みちやこころにきづかずば やがてほろびんかみのさばきに
誤れる 道や心に気付かずば やがて滅びむ神の裁きに
*
189 あやうきは まがのとりこになりながら いまだめざめぬひとのゆくすえ
危ふきは 曲の俘虜になり乍ら 未だ目醒めぬ人の行末
*
190 ただわがみ よかれのこころにわざわいの たねまくひとぞあやうかりける
唯吾身 よかれの心に災ひの 種播く人ぞ危ふかりける
*
191 いくちとせ かかりてみちをくるわせし まがつほろぶるときはきぬめり
幾千歳 かかりて道を狂はせし 曲津滅ぶる時は来ぬめり
*
192 おのもおのも まことごころにたちかえり かみのひかりにたまてらせかし
己も己も 誠心に立還り 神の光に魂照らせかし
**
     
     審 判(しんぱん) 11首  
193 いくちとせ つもりつもりしさんがいの けがれきよむるときとなりけり
幾千歳 積りつもりし三界の 穢れ浄むる時となりけり
*
194 ひとみずの せんれいなくばけがれにし ひとのこのよはほろぶるなるらむ
火と水の 洗霊なくば穢れにし 人の此世は滅ぶるなるらむ
*
195 もろびとよ こころゆるすないかめしき かみのさばきのやがてきたらん
諸人よ 心ゆるすな厳めしき 神の裁きのやがて来たらむ
 
196 かみはなしと いとほこらしげにいいしひとの あわてふためくときぞきにける
神は無しと いと誇し気に言ひし人の 狼狽ふためく時ぞ来にける
 
197 ためしなき さばきのさまのもろびとの まなこにうつるときはちかめり
例しなき 裁きの状の諸人の 眼に映る時はちかめり
 
198 きりすとの となえしさいごのさばきとは ひのせんれいのことにぞありける
キリストの 唱へし最後の審判とは 火の洗霊の事にぞありける
 
199 よのけがれ あらいきよめてあたらしき よにたてなおすさばきのわざかな
世の穢れ 洗ひ浄めて新しき 世に立直す審判の業かな
 
200 ひとびとよ くいあらためてよのとうげ やすくこえなんそなえせよかし
人々よ 悔改めて世の峠 安く越えなむ備へせよかし
 
201 ちからなり ああちからなりついえなん よをよみがえらすもかみのみちから
力なり 嗚呼力なり潰えなむ 世を甦へらすも神の御力
 
202 ただかみに うちまかすよりせんなけれ ちからとてなきひとのみなれば
只神に うち委すより詮なけれ 力とてなき人の身なれば
 
203 おごそかな かみのさばきにゆるさるる ひとにこそなれみたまきよめて
厳かな 神の裁きに赦さるる 人にこそなれ身魂浄めて
*
     
     身魂磨き(みたまみがき) 7首  
204 たまみがき こころきよめてよをすくう とうときみわざにいそしめよみな
魂磨き 心清めて世を救ふ 尊き神業に励しめよ皆
 
205 いかならん よのおおとうげきつるとて たまきよければやすくこえなん
如何ならむ 世の大峠来つるとて 魂清ければ安く越えなむ
 
206 ことたまの つよきちからはみたまより いづるしなくばかいなかりける
言霊の 強き力は美魂より 出づるしなくば甲斐なかりける
 
207 むらきもの こころをきよめしこのよを きよむるわざのひととなれかし
村肝の 心を浄め醜の世を 清むる業の人となれかし
 
208 みもたまも じょうれいをもてきよめます みわざぞまことのせんれいなりける
身も魂も 浄霊をもて浄めます 神業ぞ真の洗霊なりける
 
209 おおかみの しぐみのしばしのびぬれば みたまみがきてそなえせよかし
大神の 仕組の暫し延びぬれば 身魂磨きて備へせよかし
 
210 たれもかも とうとぶこんごうせきとても みがかざりせばかわらなるらん
誰も彼も 貴ぶ金剛石とても 磨かざりせば瓦なるらむ
 
     

 

     
     医しの業(いやしのわざ) 9首  
211 まことなる いやしのわざをわれはいま よにしらしめてすくふべらなり
真なる 医しの業を吾は今 世に知らしめて救ふべらなり
 
212 いままでの いやしのわざはいやはてに まことのもののいづるがまでなる
今迄の 医しの業は弥果てに 真のものの出づるが迄なる
 
213 ばいきんの ほんたいしらぬいがくもて などやまいなどなおしうべきや
黴菌の 本体知らぬ医学もて など病など治し得べきや
 
214 いままでの いじゅつはまことのものならじ かりのものにてありとしれかし
今迄の 医術は真のものならじ 仮のものにてありと知れかし
 
215 わがいじゅつ こそとうときおおかみの しめしたまいしものにぞありける
我医術 こそ尊き大神の 示し給ひしものにぞありける
 
216 やまいなき せかいぞここにうまれなん かみのいじゅつのよにひろごれば
病なき 世界ぞ茲に生れなむ 神の医術の世に拡ごれば
 
217 ひとのつくりし いじゅつはかがくにあらでしんれいの いやしのわざはかがくなりけり
人の作りし 医術は科学にあらで神霊の 医しの業は科学なりけり
 
218 あきらめし いのちもたやすくいかすなり かみのたまいしいやしのわざもて
諦めし 生命も容易く生かすなり 神の賜ひし医しの業もて
 
219 あきらめし ひとのよわいをひきのばす わがかむわざぞよにためしなき
諦めし 人の齢をひきのばす 我神業ぞ世に例しなき
 
     
     大経綸(だいけいりん) 9首  
220 ちいさなる ひとのまなこにうつらめや おおあめつちをただすしぐみの
小さなる 人の眼に映らめや 大天地を正す仕組の
*
221 とこしえに このどのうえにうちたてん まこととなりしゆめのてんごく
永久に 此土の上に打樹てむ 実となりし夢の天国
*
222 ぶんめいと くちにはいえどまことなる ぶんめいせかいはこれよりぞなり
文明と 口にはいへど真なる 文明世界はこれよりぞなり
 
223 まなこひらき わがわざをみよよのたれも しらぬことどもばかりなりける
眼ひらき 吾業を見よ世の誰も 知らぬ事どもばかりなりける
 
224 おおかみの ふかきしぐみはいかならん ひじりといえどしるよしもなき
大神の 深き仕組みは如何ならむ 聖といへど知る由もなき
 
225 ひとのめに などうつらめやおおかみの しぐみのふかさはかりしらねば
人の眼に など映らめや大神の 仕組の深さ測り知らねば
 
226 このしぐみ まちかねやまのほととぎす ないてまたれしもものせいじゃら
此仕組 待兼山の時鳥 啼いて待たれし諸の聖者等
 
227 おおかみの ふかきしぐみはちえやがく などもてわかるものにあらなき
大神の 深き仕組は智慧や学 などもて判るものにあらなき
 
228 おおかみの しぐみのおくのそのおくの またそのおくのおくぞとうとき
大神の 仕組の奥のその奥の 又その奥の奥ぞ尊き
 
     
     正直と嘘(しょうじきとうそ) 11首  
229 うそをいう ひとこそいともおろかなり おのがしたもておのがきずつき
嘘をいふ 人こそいとも愚かなり 己が舌もて己が傷つき
 
230 しょうじきの ひとほどかみはめでまされ かぎりなきさちめぐみたまわん
正直の 人ほど神は賞でまされ 限りなき幸恵み給はむ
 
231 いかならん たからといえどしょうじきの たからにまさるものはあらじな
如何ならむ 宝といへど正直の 宝に優るものはあらじな
 
232 にっぽんの さいけんいともたやすかり みなうそいわぬたみとなりなば
日本の 再建いとも容易かり 皆〔悉〕嘘言はぬ民となりなば
 
233 いまわしき ことのみしげきうつしよは いつわりびとのおおければなり
忌はしき 事のみ繁き現世は 偽り人の多ければなり
 
234 まこととは うそいつわりのなきひとの むねにはぐくむたからにぞある
誠とは 嘘偽りのなき人の 胸に育くむ宝にぞある
 
235 もろもろの あくをはぐくむたねこそは うそいつわりのこころなりけり
諸々の 悪を育くむ種こそは 嘘偽りの心なりけり
 
236 よのなかの みだれのもとはひとびとの うそいつわりのことばにぞある
世の中の 乱れの因は人々の 嘘偽りの言葉にぞある
 
237 しょうじきの たからはこよなきたからなり まことのたからぞこのたからなる
正直の 宝はこよなき宝なり 誠の宝ぞ此宝なる
 
238 しょうじきの ひとつくらんとわれはいま かみのおしえをまくばりてけり
正直の 人造らむと吾は今 神の教へを間配りてけり
 
239 しょうじきの ひとつくるにはまずおのが うそいつわりをすつるにありける
正直の 人造るには先づ己が 嘘偽りを捨つるにありける
 
     
     善と悪(ぜんとあく) 9首  
240 いかならん よきおこないもかみしらぬ ひとはおおかたりこのためなる
如何ならむ 善き行ひも神知らぬ 人は大方利己のためなる
 
241 かみしらぬ ひとのまことはかたちのみ かみしるひとのまことぞしんなる
神知らぬ 人の誠は形のみ 神知る人の誠ぞ真なる
 
242 いつわりや ひみつなきよをつくらんと よるひるこころをくだくわれかも
偽〔佯〕りや 秘密なき世を造らむと 夜昼心を砕く吾かも
 
243 みみちかく ひそひそかたるひとこそは こころゆるせぬひととおもいそ
耳近く ひそひそ語る人こそは 心ゆるせぬ人と思ひそ
 
244 われはただ よのためひとのためのみに つくすにありせばこころあかるし
吾は唯 世の為人の為のみに 竭すにありせば心明るし
 
245 ただしきを おこなうものはあかるかり まがのしのぶるすきのなければ
正しきを 行ふものは明るかり 曲の忍ぶる隙のなければ
 
246 しんめいの まますすみゆくわれらには まがのさやぎもはまのまつかぜ
神命の まま進みゆく吾等には 曲の騒ぎも浜の松風
 
247 ひとによく おもわれたしとねがうひと おおかたかみをわすれがちなる
人によく 思はれたしと願ふ人 大方神を忘れ勝ちなる
 
248 めにみゆる とくはまことのとくならじ みえぬとくこそかみにかよわめ
目に見ゆる 徳は真の徳ならじ 見えぬ徳こそ神に通はめ
 
     
     大慈大悲(だいじだいひ) 8首  
249 かんのんの じひとはぜんあくむさべつに すくわせたまうことにぞありける
観音の 慈悲とは善悪無差別に 救はせ給ふ事にぞありける
 
250 かんぜおん またのみなだいひぼさつとは ぶつめつのよのかなしみにぞある
観世音 又の御名大悲菩薩とは 仏滅の世の悲しみにぞある
 
251 ぜんをたたえ あくをとがめぬかんぜおん ぼさつのみこころこころとせよみな
善を讃へ 悪を尤めぬ観世音 菩薩の御心こころとせよ皆
 
252 うきのよも たのしきみよとなりぬらん かみのすくいのちからあれなば
憂きの世も 楽しき御代となりぬらむ 神の救ひの力現れなば
 
253 かんのんりき よにあらわれてかりこもの みだれけるよもたださるるならめ
観音力 世に現はれて刈菰の 乱れける世も正さるるならめ
 
254 かんぜおん ぼさつはこうみょうにょらいなる みなもてしゅじょうをすくいますなり
観世音 菩薩は光明如来なる 御名もて衆生を救ひますなり
 
255 かんのんの けぶつのみなにながきよを すくわせたまいしかみぞとうとき
観音の 化仏の御名に長き世を 救はせ給ひし神ぞ尊き
 
256 ちはやぶる かみのみよとぞなりにける みほとけのよのはやすみければ
千早振 神の御代とぞなりにける 御仏の世のはやすみければ
 
     
     光の道(ひかりのみち) 8首  
257 ぬばたまの やみのよみちにゆきまどう よびといざなわんひかりのみちへ
奴羽玉の 闇の夜路にゆきまどふ 世人誘はむ光の道へ
*
258 こうみょうの いとうるわしくかがやける かげにうごめくあわれよのひと
光明の いと美はしく輝ける 蔭に蠢めく哀れ世の人
 
259 めにみえぬ かみのひかりのまざまざと めにうつるなりたまみがきなば
目に見えぬ 神の光のまざまざと 眼に映るなり魂磨きなば
 
260 おおいなる すくいのみてをのばせども みえぬめしいぞあわれなりけり
大いなる 救ひの御手をのばせども 見えぬ盲ぞ哀れなりけり
 
261 ながみみは きくらげなるやこうみょうの みちをとけどもきかんとはせず
汝が耳は 木耳なるや光明の 道を説けども聞かむとはせず
 
262 ひかりなり ああひかりなりうばたまの やみうちはらすものにありせば
光なり 嗚呼光なり烏羽玉の 闇うち晴らすものにありせば
 
263 しこびとの ほろぶるときとなりにける かみのみひかりいよよかがやき
醜人の 滅ぶる時となりにける 神の御光弥よ輝き
 
264 ほろびゆく いつわりびとのはかなさよ ひかりのみちにそむけばなりける
滅びゆく 偽り人の儚さよ 光の道に背けばなりける
 
     
     世の終り(よのおわり) 11首  
265 いかならん かたくなびともひれふして かみをおろがむときとなりぬる
如何ならむ 頑な人も平〔鰭〕伏して 神を拝む時となりぬる
 
266 かみはなしと こころおごれるえらびとの かみにぬかづくよぞちかみけり
神は無しと 心驕れる偉人の 神に額く世ぞ近みけり
 
267 ちのうえの けがれきよむるかむわざは ひのせんれいのことにぞありける
地の上の 穢れ浄むる神業は 火の洗霊の事にぞありける
 
268 いかならん まがびとたりとひれふして かみにすがらんよのおわりには
如何ならむ 曲人たりと平伏して 神に縋らむ世の終りには
 
269 ひたすらに かみいのるよりせんなけれ ほろびんとするよのおわりには
只管に 神祈るより詮なけれ 滅びんとする世の終りには
 
270 いくまんねん またれたまいしおおかみの しぐみはいましならんとすなり
幾万年 待たれ給ひし大神の 仕組は今し成らむとすなり
 
271 たいぼうの ちじょうてんごくあるるまで あらしもふかんなみもあれなん
待望の 地上天国生るるまで 嵐も吹かむ波も荒れなむ
 
272 てんごくの うぶごえいまやあげんとし よはじんつうのなやみのなかなり
天国の 産声今や挙げむとし 世は神通の悩みの中なり
 
273 よのおわり きつるもしらでらちもなき あらそいごとにふけるうたてさ
世の終り 来つるも知らで埒もなき 争事に耽けるうたてさ
 
274 ながきよを つもりつもりしちりあくた きよめてあれんちじょうてんごく
長き世を 積りつもりし塵芥 浄めて生れむ地上天国
 
275 ことのはも ふでにもなどかつくすべき このうつしよのおわりのさまはも
言の葉も 筆にもなどかつくすべき 此現世の終りの状はも
 
     
     信 仰(しんこう) 7首  
276 うきくさの ただようごときさだめもつ ひとにかあらんしんこうなきひと
浮草の 漂ふ如き運命もつ 人にかあらむ信仰無き人
 
277 はかなきは このうつしよにありながら かみにたよらですすむひとなる
儚なきは 此現世にあり乍ら 神に頼らで進む人なる
 
278 かみなしと ほこりしひとのゆくすえは わがみのなしとかたるににたり
神無しと 誇りし人の行末は 我身のなしと語るに似たり
 
279 しんこうの なきひとみるごとおもうかな くらげににたるほねなしびとと
信仰の 無き人見る毎思ふかな 水母に似たる骨無人と
 
280 つかのまも こころやすらにあるべきや かみにそむけるひととうひとは
束の間も 心安らにあるべきや 神に叛ける人とう人は
 
281 やりぶすま やいばのかきにかくまるる さまにもにたりいまのよのひと
槍衾 刃の垣にかくまるる 状にも似たり今の世の人
 
282 よるのおわり きつるもしらでゆめさめぬ ひとこそよにもあわれなりける
夜の終り 来つるも知らで夢醒めぬ 人こそ世にも哀れなりける
*
     
     救ひの業(すくいのわざ) 9首  
283 ちのそこに あえぎくるしむこひつじを すくわんとしてわれはたつなり
地の底に 喘ぎ苦しむ小羊を 救はむとして吾は立つなり
*
284 いかならん ひじりもしらぬおおいなる すくいのわざをわれはおこなう
如何ならむ 聖も知らぬ大いなる 救の業を吾は行ふ
 
285 きせきなり ああきせきなりにんげんの ちえもてはかれぬうずのかむわざ
奇蹟なり 嗚呼奇蹟なり人間の 智慧もて計れぬ珍の神業
 
286 やまよりも たかくうみよりもふかかりぬ すくいのかみのふかきめぐみは
山よりも 高く海よりも深かりぬ 救の神の深き恵は
 
287 ぬばたまの とこよのやみをはらさんと かがやきいでぬかみのせいかは
奴羽玉の 常世の暗を晴らさむと 輝き出でぬ神の聖火は
 
288 ばんにんを すくうというはえいえんの いのちのみちをおしゆるにあり
万人を 救ふといふは永遠の 生命の道を諭ゆるにあり
 
289 けがれおおき ひとをきよむるわざこそは まことのすくいのみちにぞありける
穢れ多き 人を浄むる業こそは 誠の救ひの道にぞありける
 
290 おおかみの よさしのままにわれはいま いきとしいけるものみなすくわん
大神の 任しのままに吾は今 生きとし生ける物みな救はむ
 
291 ちえやがく いかにありとてわかるまじ かみのしぐみのおくのおくがは
智慧や学 如何にありとて判るまじ 神の仕組の奥の奥がは
 
     
     地上天国(ちじょうてんごく) 8首  
292 ちじょうてんごく つくらんとしてわれはいま ちからかぎりにいそしみにける
地上天国 造らむとして吾は今 力限りに励しみにける
 
293 やすらけき うましのみよはたてられん きよめられにしこのちのうえに
安らけき 美しの御代は樹てられむ 浄められにし此地の上に
 
294 とことわに ふゆなきよるなきてんごくに よびとすくはんはやきたれかし
永遠に 冬なき夜なき天国に 世人救はむはや来れかし
*
295 いままでの ぶんかはじごくのぶんかなり われはつくらんてんごくのぶんかを
今迄の 文化は地獄の文化なり 吾は造らむ天国の文化を
 
296 びょうひんそう まったくきゆるぶんかこそ てんごくらくどのぶんかなりける
病貧争 全く消ゆる文化こそ 天国楽土の文化なりける
 
297 てんごくの かたきいしずえようやくに このどのうえにうちたてられぬ
天国の 固き礎漸くに 此土の上に打樹てられぬ
 
298 ぶつのよは すみきわまりてまちのぞむ みろくのみよはうまれんとすも
仏の世は すみ極まりて待ち望む 弥勒の御代は生れんとすも
 
299 おんりえど すみきよめられあたらしき たのしきみよはあれなんとすも
厭離穢土 澄み浄められ新しき 楽しき御代は現れなむとすも
 
     
     諸の聖者(もものせいじゃ) 7首  
300 きりすとも しゃかもこうしもこのすくい いかにまたれしてんごくにいまして
キリストも 釈迦も孔子もこの救ひ 如何に待たれし天国に居まして
 
301 ばいぶるも ぶっしょもこのよのいやはてに ぐせのちからのいずるをしめせる
バイブルも 仏書も此世の弥果に 救世の力の出づるを示せる
 
302 きりすとの のらせたまいしてんごくの ふくいんわれはつたえんとすも
キリストの 宣らせ給ひし天国の 福音吾は伝へむとすも
 
303 きりすとも しゃかもめしやのあれまさん ときくるまでのつゆはらいなる
キリストも 釈迦もメシヤの生れまさむ 時来るまでの露払ひなる
 
304 ばんみんの つみのあがないぬしにあらで めしやはつみのゆるしぬしなる
万民の 罪の贖ひ主にあらで メシヤは罪の赦し主なる
 
305 ばんみんの すくいのぬしはよのおわりに あるるときりすとのきみはいいける
万民の 救ひの主は世の終りに 生るるとキリストの君はいひける
 
306 きりすとは あがないぬしとあれたまい めしやはすくいのぬしとあるるも
キリストは 贖い主と生れ給ひ メシヤは救ひの主と生るるも
 
     
     芸 術(げいじゅつ) 10首  
307 げいじゅつの たかきにおいはひとのよの いともとうときものにぞありける
芸術の 高き匂ひは人の世の いとも尊きものにぞありける
*
308 げいじゅつを たのしむこころゆたかなる ひとこそてんごくにじゅうすればなり
芸術を 楽しむ心裕なる 人こそ天国に住すればなり
*
309 ひとのなさけ つきゆきはなにめをそらす ひとはみたまのひくければなり
人の情 月雪花に目を外らす 人は身魂の低ければなり
*
310 はるのはな あきのもみじをめずるこそ かみのめぐみにこたうるなりける
春の花 秋の紅葉を愛ずるこそ 神の恵みに応ふるなりける
*
311 はなわらい ももとりうたうはるぬのは かみがいざなうてんごくのその
花笑ひ 百鳥歌ふ春ぬ野は 神が誘ふ天国の苑
**
312 さんかそうもく こよなきながめはひとのめを たのしませますかみのげいじゅつ
山河草木 こよなき眺めは人の目を 楽しませます神の芸術
 
313 いにしえの せいじゃはかみこしらゆうに つつまれたれどわれはしかせじ
古への 聖者は紙衣白木綿に 包まれたれど我はしかせじ
**
314 てんごくに よびとすくわんのぞみもて われまずてんごくのひととなるなり
天国に 世人救はむ望みもて 吾先ず天国の人となるなり
*
315 いかならん せいじゃといえどおのがみの じごくにありてよをすくわめや
如何ならむ 聖者といえど己が身の 地獄にありて世を救はめや
*
316 かちょうふうげつ われはともとしうきおおき よにもたのしくいきんとぞおもう
花鳥風月 吾は友とし憂き多き 世にも楽しく生きむとぞ思ふ
**
     
     戒 心(かいしん) 8首  
317 ものにのみ たよりしことのおろかさを よびとさとらんときぞきぬるも
物にのみ 頼りし事の愚かさを 世人悟らむ時ぞ来ぬるも
*
318 ちかみくる ただしきみよをしらずして いまだまがことたくむあわれさ
近み来る 正しき御世を知らずして 未だ曲事企む哀れさ
*
319 もののよく ほどほどにせよこえがたき とうげきぬればいかにとやせむ
物の慾 ほどほどにせよ越え難き 峠来ぬれば如何にとやせむ
*
320 はかなきは あすをもしらぬさだめもつ ひとのきりなきよくにこそあれ
儚なきは 明日をも知らぬ運命もつ 人のきりなき慾にこそあれ
**
321 うえになく たみぐさあわれながきよを かみわすれしにとがにかあらむ
飢に哭く 民草憐れ長き世を 神忘れにし咎にかあらむ
*
322 おおいなる すくいのみわざにつかえまつる ひとこそおおきこころもてかし
大いなる 救の神業に仕へ奉る 人こそ大き心もてかし
 
323 いとたかき とうときものはひとなりと おもうひとこそひとたるひとなり
いと高き 尊きものは人なりと 思ふ人こそ人たる人なり
 
324 あらそいを はじとおもわぬこころもつ ひとこそいやしきひとにありける
争ひを 恥と思はぬ心もつ 人こそ卑しき人にありける
 
     
     完き教へ(まったきおしえ) 7首  
325 もろもろの おしえはあれどまったきの おしえはほかにあらじとぞおもう
諸々の 教へはあれど完きの 教へは外にあらじとぞ思ふ
 
326 しんこうは いくつともなくいでたれど いまだこのよをすくえぬぞうき
信仰は いくつともなく出でたれど 未だ此世を救へぬぞ憂き
 
327 しゅうきょうを かがくもてときかがくをば しゅうきょうにとくわがふみをみよ
宗教を 科学もて解き科学をば 宗教に解く我書を見よ
 
328 かげんみを いとありやかにしめすふみ いまだこのよにあらざりしなり
過現未を いとありやかに示す書 未だ此世にあらざりしなり
 
329 このおしえ しらぬひとこそあわれなれ まことのさちをつかみえざれば
此教へ 知らぬ人こそ哀れなれ 真の幸を掴み得ざれば
 
330 ひとのぶんか よりほかしらぬよのひとに われはしらさんかみのぶんかを
人の文化 より外知らぬ世の人に 吾は知らさん神の文化を
 
331 よをあげて たたえんときぞまたれぬる わがかむわざのあまねかりせば
世を挙げて 讃へむ時ぞ待たれぬる 我神業の普ねかりせば
 
     
     生死一如(せいしいちにょ) 8首  
332 いきかわり しにかわりつとこしえの いのちのぬしはひとにぞあるなり
生き変り 死に変りつ永久の 生命の主は人にぞあるなり
 
333 うまるるも しぬるもふかきわけあるを しらでよびとをみちびきうべしや
生まるるも 死ぬるも深きわけあるを 知らで世人を導き得べしや
 
334 かくりよの ことどもしらでみちをとく ひとのことばはくうきょなりける
幽世の 事ども知らで道を説く 人の言葉は空虚なりける
 
335 おのがみの かみにつくられたもしらで かみはこのよになしとうおろかさ
己が身の 神に造られたも知らで 神は此世に無しとう愚かさ
 
336 とこしえに ひとのいのちはあるものと しりてはじめてひとたるひとなり
永久に 人の生命はあるものと 知りて初めて人たる人なり
 
337 とことわの いのちのさちをつくれかし このうつしよにありしあいだに
永遠の 生命の幸を作れかし 此現世にありし間に
 
338 くちずやけぬ たからというはめにみえぬ とくをほどこすことにぞありける
朽ちず焼けぬ 宝といふは目に見えぬ 徳を施す事にぞありける
 
339 かくりよに いますたらちねにつくすこそ こよなきまことのこうにぞありける
幽世に います垂乳根に尽くすこそ こよなき真の孝にぞありける
 
     
     安心立命(あんしんりゅうめい) 10首  
340 ちはやぶる かみのひかりにてらされて とこやみのよもやすくいきなん
千早振 神の光に照らされて 常暗の世も安く生きなん
 
341 ぬばたまの やみにつえなくさまよえる ひとこそたずねよこうみょうのくに
奴羽玉の 闇に杖なく彷へる 人こそ訪ねよ光明の国
 
342 おおいなる なやみをよそによろこびの つちふるうなりかみのまめひと
大いなる 悩みを他に喜びの 槌揮ふなり神の信徒
 
343 みぎひだり あらそうよをばしらぬがに かんきにいくるかみのしもべら
右左 争ふ世をば知らぬがに 歓喜に生くる神の僕等
 
344 うるわしき はなみるごとにおもうかな かみのめぐみのいかにふかきを
美はしき 花見る毎に憶ふかな 神の恵みの如何に深きを
*
345 ふきすさぶ あらしのそとにやすかりぬ かみのまもりをうくるこのみは
吹き荒ぶ 嵐の外に安かりぬ 神の護りを享くる此身は
 
346 いとちさき わがやなれどもおおかみの めぐみのさちにてんごくなりける
いと小さき 我家なれども大神の 恵の幸に天国なりける
 
347 すくわれて おそるるものはよにあらじ かみをちからに すすむこのみは
救はれて 恐るるものは世にあらじ 神を力に進む此身は
 
348 ありがたし ああありがたしすくわれて わがいえぬちはこのよのてんごく
有難し 嗚呼有難し救はれて 我家ぬちは此世の天国
 
349 うれしきは じごくにもにしわがすぐせ いつしかわすらいてんごくのさま
嬉しきは 地獄にも似し我過去 いつしか忘らひ天国のさま
 
     
     盲(めしい) 12首  
350 ぜんあくの けじめもわかぬまなこもつ めしいのはばるよにぞありける
善悪の 差別も分かぬ眼もつ 盲のはばる世にぞありける
 
351 よきものを よしとしあしきをあしとみる まなこはただしきまなこなりける
善ものを 善とし悪きを悪と見る 眼は正しき眼なりける
 
352 ひとのめは いつわりえてもかみのめは いつわりえぬとしるひとのさち
人の眼は 偽り得ても神の眼は 偽り得ぬと知る人の幸
 
353 おろかなる ひととはあくなるたねをまき かりとるなやみしらぬにぞある
愚かなる 人とは悪なる種を蒔き 刈りとる悩み知らぬにぞある
 
354 おおいなる さちをたまわるみすくいに まなこをとずるひとのあわれさ
大いなる 幸を賜はる御救ひに 眼を閉づる人の哀れさ
 
355 かみあるを しらぬよびとのあさましさ こころのめしいしるよしもなく
神在るを 知らぬ世人の浅ましさ 心の盲知る由もなく
 
356 いかならん きせきもめしいにはみえざらめ ぶたにしんじゅのたとえのごとくに
如何ならむ 奇蹟も盲には見えざらめ 豚に真珠の譬への如くに
 
357 ほんものを にせものとおもいにせものを ほんものとおもうはめしいなればなり
本物を 贋物と思ひ贋物を 本物と思ふは盲なればなり
 
358 よにあわれ なるはめしいぞじごくをば てんごくとみまがいたらいいるなり
世に哀れ なるは盲ぞ地獄をば 天国と見紛ひ足らひゐるなり
 
359 おのがいのち たすからんとしてさかしらに ほろぶるひとのおおきよなるも
己が生命 助からんとして逆しらに 滅ぶる人の多き世なるも
 
360 よしやよし こんごうせきをみするとて めしいはただのこいしとおもわん
よしやよし 金剛石を見するとて 盲は只の小石と思はむ
 
361 わがおしえ せんじつむればよのめしいの まなこをひらくことにぞありける
我教へ 詮じ詰むれば世の盲の 眼を開く事にぞありける
 
     
     熱 海(あたみ) 7首  
362 ふゆしらぬ あたみめぐましいちがつに うめさきにがつにさくらさくなり
冬知らぬ 熱海愛まし一月に 梅咲き二月に桜咲くなり
**
363 うみやまの けしきうるわしいでゆわき あたみはこのよのてんごくなるかも
海山の 景色美はし温泉湧き 熱海は此世の天国なるかも
 
364 しずかなる うみにうかべるはつしまを はるかにながめついでゆにつかれる
静かなる 海に浮かべる初島を 遥かに眺めつ温泉につかれる
*
365 やまきよく うみしずかなるあたみはも いでゆのありてたらぬものなき
山清く 海静かなる熱海はも 温泉のありて足らぬものなき
**
366 さんすいの びはととのいてあたたかく たらぬものなきあたみよきかな
山水の 美は整ひて暖かく 足らぬものなき熱海よきかな
 
367 あたみほど うるわしきちはあらざらめ かみはまえつにそなえしなるらめ
熱海程 美はしき地はあらざらめ 神は前つに備へしなるらめ
 
368 おおかみは あたみをえらみてんごくの かたつくるべうわれによさしぬ
大神は 熱海を選み天国の 型造るべう吾に任しぬ
 
     
     瑞雲天国(一)(ずいうんてんごく1) 10首  
369 とこはるの すがたそのままあらわして ちじょうてんごくわれつくらんとすも
常春の 姿そのまま表はして 地上天国吾造らむとすも
 
370 はなわらい ももとりうたうてんごくの さまをうつせるずいうんきょうかな
花笑ひ 百鳥歌ふ天国の 状を写せる瑞雲郷かな
 
371 さながらに てんごくなるかもさきさかる ひゃっかのかによいうみやまながむる
宛らに 天国なるかも咲き盛る 百花の香に酔ひ海山眺むる
 
372 うつしよに かくもたえなるぱらだいす ありやとおもうずいうんてんごく
現世に 斯くも妙なるパラダイス ありやと思ふ瑞雲天国
 
373 おううんの たなびくおくにえのごとく かすみにうかぶはくあのでんどう
桜雲の 靉びく奥に絵の如く 霞に浮かぶ白亜の殿堂
 
374 さながらに てんごくしびきゅうしのばれぬ かうんにそびゆるけだかきやかたは
宛らに 天国紫微宮偲ばれぬ 花雲に聳ゆる崇高き館は
 
375 つたえきく ぎおんしょうじゃにいやまさる ごくらくきょうをあたみにつくらん
伝へ聞く 祇園精舎にいや優る 極楽境を熱海に造らむ
 
376 ももはなの いろかをめでつめをやれば はるかにかすむいずのしまやま
百花の 色香を賞でつ目をやれば 遥かに霞む伊豆の島山
 
377 てんねんと じんこうのびをこころゆく まであらわせるずいうんてんごく
天然と 人工の美を心ゆく まで表はせる瑞雲天国
 
378 うつしよの けがれにそみしもろびとの こころをあらうてんごくのその
現世の 穢れに染みし諸人の 心を洗ふ天国の苑
 
     
     瑞雲天国(二)(ずいうんてんごく2) 11首  
379 つかれたる よびとしずかにいこわせん てんごくのかたわれはつくりて
疲れたる 世人静かに憩はせむ 天国の型吾は造りて
 
380 くちぐちに ひとそやすなりずいうんきょうに あればうきのよわすらえるとや
口々に 人そやすなり瑞雲郷に あれば憂きの世忘らへるとや
 
381 うつしよの じごくにあえぐもろびとを しばしなりともてんごくにみちびく
現世の 地獄に喘ぐ諸人を 暫しなりとも天国に導く
 
382 さながらに うかとうせんのおもいすも せいせいだいじょうによもながむれば
宛らに 羽化登仙の思ひすも 晴々台上に四方眺むれば
 
383 ましたには かうんたなびきはろらかに うみやまながむるせいせいだいじょう
真下には 花雲靉びき遥らかに 海山眺むる晴々台上
 
384 ももはなの むせぶがごとくさきさかる ずいうんきょうははるのてんごく
百花の 咽ぶが如く咲きさかる 瑞雲郷は春の天国
 
385 とつくにの ひともやがてはつどいこん よにふたつなきぱらだいすなれば
外国の 人もやがては集ひ来む 世に二つなきパラダイスなれば
 
386 えまきもの くりひろげたるがごとくにて ただこうこつたりぬけいかんだいのうえ
絵巻物 繰り展げたるが如くにて ただ恍惚たりぬ景観台の上
 
387 ばんにんの こころをなごめきをやすめ びをたのしますちじょうてんごく
万人の 心を和め気を休め 美を楽します地上天国
 
388 うるわしき ももはなちはなはやまうずめ てんごくらくどをしのばするなり
美はしき 百花千花は山埋め 天国楽土を偲ばするなり
 
389 だいしぜんの うつくしさこそほかになき とうときむごんのおしえなりけり
大自然の 美しさこそ外になき 尊き無言の教へなりけり
 
     
     神人の業(しんじんのわざ) 10首  
390 ひとにして かみにしありぬかみにして ひとにあらねばよぞすくえまじ
人にして 神にしありぬ神にして 人にあらねば世ぞ救へまじ
 
391 ちょうぼんの ちからにあらねばつみけがれ きわまりなきよをすくいうべしや
超凡の 力にあらねば罪穢 極りなき世を救ひ得べしや
 
392 ひさかたの あめよりくだるいとたかき すくいのぬしのみわざたたえん
久方の 天より降るいと高き 救ひの主の御業讃へむ
 
393 きゅうせいの かみのみちからおおけなくも たまいてわれによさしたまいぬ
救世の 神の御力おほけなくも 賜ひて吾に任し給ひぬ
 
394 ひとのちから いかにつよくもくぶくりんの せとぎわにきてくつがえるなり
人の力 如何に強くも九分九厘の 瀬戸際に来て覆へるなり
 
395 ひとのちからは くぶくりんかみのちからはじゅうぜんと しるひとにしてすくわれしなる
人の力は 九分九厘神の力は十全と 知る人にして救はれしなる
 
396 いちりんの たまのひかりはひにつきに とこやみのよにひろぎゆくなり
一厘の 玉の光は日に月に 常暗の世に拡ぎゆくなり
 
397 いかならん まがつといえどただひとつ かなわぬものはだいじょうりきなり
如何ならむ 曲津といへど唯一つ 敵はぬものは大浄力なり
 
398 まちのぞむ まことのすくいはあらわれぬ まなこさませよよろずくにびと
待ち望む 真の救ひは現はれぬ 眼醒ませよ万国人
 
399 ぜんとあく たてわけたまうみちからを ふるうめしやのみわざかしこし
善と悪 たて分け給ふ御力を 揮ふメシヤの神業畏し
 
     
     法 難(ほうなん) 9首  
400 ちからよわき わがたましいをきためんと かみはほうなんをあたえたまいぬ
力弱き 我魂を鍜めんと 神は法難を与え給ひぬ
 
401 おおかみは うずのかむわざひそやかに なさしめんとてひとやえらみぬ
大神は 珍の神業ひそやかに 成さしめんとて牢獄選みぬ
 
402 いとふかき かみのしぐみはひとのめの とどかぬひとやをえらみたまいぬ
いと深き 神の仕組は人の眼の 届かぬ牢獄を選み給ひぬ
 
403 きゅうせいの ふかきしんぴをあかさんと かみはひとやにいざないにけり
救世の 深き神秘を明さむと 神は牢獄に誘ひにけり
 
404 わがさだめ くしとおもいぬふりみれば いばらのみちをいくどこえきし
我運命 奇しと思ひぬふり見れば 荊の道を幾度越え来し
 
405 たかやまも ふかかにがわもいとやすく こえてきにけりかみのまもりに
高山も 深谷川もいと安く 越えて来にけり神の護りに
 
406 ひとよりも くるしきことありひとよりも たのしきことありわがさだめはも
人よりも 苦しき事あり人よりも 楽しき事あり我運命はも
 
407 かむながら かみのまにまにすすむみは もものなやみもうちきゆるなり
惟神 神のまにまに進む身は 諸の悩みもうち消ゆるなり
 
408 いかならん なやみにあうもためらわじ まことひとつにすすみゆくみは
如何ならむ 悩みに遭ふも躊らはじ 誠一つに進みゆく身は
 
     
     偶 感(ぐうかん) 10首  
409 くさもゆる はるのはいつにかわらねど うつりゆくよのうれたきすがたよ
草萌ゆる 春野は何時に易らねど 移りゆく世の憂れたき姿よ
**
410 うるわしき はなにあこがるひとこそは はなにもにたるこころもつなり
美はしき 花に憧る人こそは 花にも似たる心持つなり
 
411 ひとのよの たのしさしりぬにわにさく つばきいちりんとこにかざりて
人の世の 楽しさ知りぬ庭に咲く 椿一輪床に飾りて
 
412 はなはさき とりうたえどもたのしめぬ よこそうたてしわがすめるくに
花は咲き 鳥歌へども楽しめぬ 世こそ憂たてし我住める国
 
413 ひとのよの くらくのもとはみなおのが てもてつくりしものにありける
人の世の 苦楽の因はみな己が 手もて作りしものにありける
 
414 まことなり ああまことなりこのくにに ほしきはまことのいちじなりける
誠なり 嗚呼〔噫〕誠なり此国に 欲しきは誠の一字なりけり
 
415 くにのなやみ とけぬはもものつかさらが まことのとぼしきゆえにぞありける
国の悩み 解けぬは諸の司等が 誠の乏しき故にぞありける
 
416 てんをます おおきもふたばのいとちさき ころもありけるよにしあるなり
天をます 大樹も双葉のいと小さき 頃もありける世にしあるなり
 
417 あやまれる ぶんめいをしんのぶんめいと おもうめしいのまなこさまさん
誤れる 文明を真の文明と 思う盲の眼醒まさむ
 
418 しんこうを ただひとくちにちぢむれば まことのいちじにつくるなりけり
信仰を 只一口に約むれば 誠の一字につくるなりけり
 
     
     吾(われ) 12首  
419 しじゅうごさい われけんしんじつとなりてより ときしことごとしんりにぞある
四十五歳 吾見真実となりてより 説きし悉真理にぞある
 
420 けんしんじつの わがめにうつるうつしよは ちりやあくたにうずもれており
見真実の 我眼に映る現世は 塵や芥に埋もれており
 
421 ひとのよに ためしとてなきおおいなる ちからをかみはわれにたまいぬ
人の世に 例しとてなき大いなる 力を神は吾に給ひぬ
*
422 おおいなる のぞみにいくるわれにして ちさきことにもこころくばるなり
大いなる 望みに生くる吾にして 小さき事にも心配るなり
**
423 いかならん ひなんそしりもきたれかし われにははじゃのつるぎありせば
如何ならむ 非難譏りも来れかし 吾には破邪の剣ありせば
 
424 わがみたま みがかれんとしておおかみは まがとうといしもちいたまうも
我身魂 磨かれんとして大神は 枉とう砥石用ひ給ふも
 
425 ことしげく わがなすわざのひとひらにも ふかきしんいのこもれるとしれ
事繁く 我為す業の一片にも 深き神意の籠れると知れ
 
426 ふみまよい ゆくてもわかぬこひつじを いとねもごろにわれはみちびく
ふみ迷ひ 行手もわかぬ小羊を いと懇ろに吾は導く
 
427 ひとのよに まだみぬぶんめいのそうぞうとう うずのしんしょをわれかきつづるなり
人の世に まだ見ぬ文明の創造とふ 珍の神書を吾かき綴るなり
 
428 きりすとや しゃかまほめっとさえおこなわぬ すくいのみわざわれなしとげんかも
キリストや 釈迦マホメットさへ行はぬ 救ひの神業吾為し遂げむかも
 
429 かみにそむき われをそしりしめしいらの くいあらためるさまみるぞうき
神に叛き 吾を譏りし盲等の 悔改める状見るぞ憂き
 
430 われもしも うまれざりせばひとのよは やがてついえなんとふとおもいける
吾もしも 生まれざりせば人の世は やがて潰えなむとふと思ひける
 
     
     無題歌(むだいか) 11首  
431 てんにはじず ちにおそれなきひとにこそ かみがめぐもうせきしなるらん
天に恥ぢず 地に怖れなき人にこそ 神が愛もう赤子なるらむ
 
432 ただかみの みこころにかなうようにせよ ひとのめくちにこころひかれそ
只神の 御心に叶ふようやふにせよ 人の目口に心惹かれそ
 
433 ちじょうてんごくも せんじつめればくらがりも ひみつもうそもなきよなりける
地上天国も 詮じ詰めれば暗がりも 秘密も嘘もなき世なりける
 
434 まなこひらき はかいのうらにそうぞうの つちをふるわすみわざみられよ
眼開き 破壊の裏に創造の 槌を揮はす神業見られよ
 
435 よのおわり のばしのばしてひとりだも おおくすくわすかみのみこころ
世の終り 延ばし延ばして一人だも 多く救はす神の御心
 
436 にょいのたま うちふるいなばいかならん ひととしいえどまなこくらまん
如意の玉 うち揮ひなば如何ならむ 人としいへど眼くらまむ
 
437 みすまるの たまのひかりはひにつきに かがやきますなりまなこひらけよ
美須摩琉の 玉の光は日に月に 輝き増すなり眼開けよ
 
438 なにごとも おもいにまかせぬうつしよに たよるはかみのちからのみなり
何事も 思ひに委せぬ現世に 頼るは神の力のみなり
 
439 ただかみの おおみこころにかなわんと つとむるひとこそまびとなりけり
只神の 大御心に叶はむと 努むる人こそ真人なりけり
 
440 ひとのつみ とがむるひとこそかみよりの とがめかかぶるひとにぞありける
人の罪 尤むる人こそ神よりの 咎め蒙ぶる人にぞありける
 
441 しこぐもの ただようなかのこのくにに けだかくそびゆるふじのれいほう
醜雲の 漂ふ中の此国に 崇高く聳ゆる富士の霊峰
 
     
      付  録  
     
     結 婚(けっこん) 11首  
442 なれとわれと むすびしきょうのうれしさよ かみのさだめしえにしにありせば
汝と吾と 結びし今日の嬉しさよ 神の定めし縁にありせば
 
443 きょうよりは ちからをあわせひたむきに よのためみちのためにつくさん
今日よりは 力を協せひたむきに 世の為道の為に尽く〔尽〕さん
 
444 みめぐみに むすばれたりしえにしなれば すえのすえまでそいとげんとぞちかう
御恵に 結ばれたりし縁なれば 末の末迄添ひ遂げんとぞ誓ふ
 
445 おおかみの ふかきみめぐみかしこみて ともしらがまでそいとげんかも
大神の 深き御恵み畏みて 友白髪まで添ひ遂げむかも
 
446 なにごとも かみのみむねにゆだねつつ こころやすらにむだすすまなむ
何事も 神の御むねに委ねつつ 心安らに共進まなむ
 
447 かみをせに まことをつえにてをつらね すすむゆくてになどさやりあらめや
神を背に 誠を杖に手を連ね 進む行手になどさやりあらめや
 
448 いかならん なやみにあうもこころをあわせ みちまもりなばなどおそれめや
如何ならむ 悩みに遭ふも心を合わせ 道守りなばなど恐れめや
 
449 あいともに かみのまさみちまもりつつ いくればたのしきこのよなりけり
相共に 神の正道守りつつ 生くれば楽しき此世なりけり
 
450 とうときは ふうふのなかもむつまじく いくちよかけてかわらぬにあり
尊きは 夫婦の仲も睦じく 幾千代かけて変らぬにあり
 
451 まがかみは ふうふのみちをみださんと ねらいつめおりこころせよかし
曲神は 夫婦の道を乱さんと 狙ひつめをり心せよかし
 
452 おのこおみな かたくむすべばいかならん ことにもこらえてやすくゆくめり
男女 固く結べば如何ならむ 事にも耐へて安くゆくめり
 
     
     救 霊(きゅうれい) 10首  
453 おしまれつ このよさりにしなれなりき はやてんごくのもんにいるらん
惜しまれつ 此世去りにし汝なりき はや天国の門に入るらむ
 
454 かくりよの かみにいのりててんごくの ひととなれかしひとひもはやく
幽世の 神に祈りて天国の 人となれかし一日も早く
 
455 おしみても なおあまりあるなれなれど かみのさだめはいかんともせんなし
惜しみても 尚余りある汝なれど 神の運命は如何とも詮なし
 
456 うつそみの よにてはかなわぬみすくいの わざもかなわんたまのみくには
現身の 世にては叶はぬ御救の 業も叶はん霊の御国は
 
457 かくりよの かみにひたすらねぎもうすは いまさりまししなれのさちわい
幽世の 神に只管願ぎ申すは 今去りましし汝の幸ひ
 
458 かくりよに いりしなれはもみすくいに ひたいそしめよちからかぎりに
幽世に 入りし汝はも御救に ひた励めよ力限りに
 
459 うつそみの すくいはかぎりあるものぞ たまのすくいはじゆうむげなる
現身の 救ひは限りあるものぞ 霊の救ひは自由無碍なる
 
460 よしやよし うつしよさりてかくりよに ゆくとてかみのまもりはかわらじ
よしやよし 現世去りて幽世に 往くとて神の護りはかはらじ
 
461 かくりよの すくいのわざもおおかみの みむねにかなえばてんごくにいりなん
幽世の 救の業も大神の 御旨に叶へば天国に入りなむ
 
462 とうときは ひととうものなりいきかわり しにかわりつつはてなのいのち
尊きは 人とふものなり生き変り 死に変りつつ果てなの生命
 
     
 

全四六二首収録